日立製作所(古川一夫社長)は、独自のサーバー仮想化技術をテコに事業拡大を目指す。国内主要サーバーメーカーがPCサーバー向けの仮想化ソフトの商品化をためらうなか、いち早く開発に着手。今年9月にはハードウェア支援機構付きの仮想化ソフトの適用範囲を拡大した。結果は、「引き合いが強く、出荷が間に合わないほど」(上野仁・エンタープライズサーバ事業部開発本部第三部担当部長)と手応えをつかんでいる。

 ソフトウェアのみでもサーバー仮想化は実現できる。だが、処理速度を高めるためにはCPUやメモリ制御、出入力(I/O)などハードウェアの支援機構があるほうが有利だ。インテルやAMDなど主要CPUメーカーは仮想化支援機構を採り入れた製品開発を進めているが、メモリやI/O回りは手薄になりがちだった。日立はここに目をつけてハードウェア全体で仮想化を支援する仕組みを開発。ハード支援機構と一体的に動作する自社仮想化ソフト「Virtage(バタージュ)」を搭載することで競争優位性を高める。

 PCサーバーの仮想化技術は、実用に十分耐えられるまで完成度が高まってきた段階。今後はダウンすることが許されないミッションクリティカルな業務でも適用できるよう、無停止型や高い可用性を持ったサーバー仮想化システムの需要が拡大するものとみられている。

 日立では、「仮想化プラットフォームを自社で持つビジネスメリットは大きい」(同)と判断。ハードウェアとソフトウェアの両方の技術開発を進めることで、さらに高い可用性を持った仮想化機構を開発する方針だ。

 米ソフトウェアベンダーのヴイエムウェアやシトリックス・システムズが仮想化ソフトの開発で先行しており、来春にはマイクロソフトが次期サーバーOSで同様の機能を採用する見通しだ。先行する米ソフトベンダーを前に、「重複投資を避ける」(別のサーバーベンダー幹部)ため、独自の仮想化ソフトへの投資に二の足を踏む国内サーバーベンダーが多い。日立ではソフトウェアだけでは実現できない堅牢性、安定性を業界に先駆けて打ち出すことで自社サーバー製品の差別化を推進。シェア拡大を目指す。