販売系SIerの日本ビジネスコンピューター(JBCC、山本健治社長)はオリジナル商材の開発を加速する。製品開発と技術研究をグループ子会社に集約。ソフトウェアとハードウェアの両面で開発に専念することでオリジナル商材の競争力を高める。販売系SIerの自社製品を巡っては、大塚商会が主力ERP製品を開発子会社のOSKに移管するなど、開発体制の集約、強化が相次ぐ。ハードウェア価格の下落などから他社製品を仕入れて販売する従来型の“売買差益”モデルでは十分な収益が得られないのは明らか。粗利が高い自社製品の比率をいかに増やしていくかが勝ち残りのカギを握る。

SOAベースにラインアップ増やす

photo JBCCはオリジナル商材開発の戦略子会社・JBアドバンスト・テクノロジー(JBAT)を立ち上げた。プリンタやシンクライアントなどハードウェアを開発していたグループ会社のアプティを受け皿としたもので、これまでJBCC本体が開発していた業務アプリケーションや、オープンソースソフトなど先端技術部門をJBATへ移管。JBCCのトップ自ら4月1日付で社長に就くという力の入れようだ。

 立ち上げとほぼ同時に、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を支える独自のESB(エンタープライズサービスバス)ミドルウェア製品を発表。機能追加した製品も含めて10種類近くを4月8日から順次投入。SOAをベースとしたシステム連携を積極的に展開する。また、昨年10月、世界最速級のドットインパクトプリンタの開発に成功したアプティと、JBCCの先端技術の研究開発チームを合流。ソフト・ハードを密接に組み合わせたオリジナル製品の開発を集中化することで効率を高める。

 今年3月末までJBCCのトップを務め、JBATを立ち上げた山田社長は、「利用や実装の技術に重点を置いた研究開発に特化する」とし、JBCCが付加価値の高いビジネスを展開できるよう製品面で支える。

 SOA新製品「SystemWebService2.0」は、JBCCの主要な顧客ターゲットである中堅・中小企業での利用を前提に機能を絞り込むことで、他社のESB製品より価格を抑えた。JBグループは日本IBMのトップソリューションプロバイダであり、IBMのSOA基盤を活用するケースもある。だが、「中小企業層では価格面で折り合わない」という課題もあった。今回の製品ではシステムを二重化するためのバックアップ用のソフトライセンスも含めて1セットあたり500万円程度に抑えた。バックアップ用が含まれるため実質的に競合製品より何割か安くなる計算だ。

 帳票やビジネスインテリジェンス(BI)などのツール類、ERPやCRM(顧客情報管理システム)などの基幹系システムの製品ラインアップもJBATを中核として拡充を急ぐ。顧客ニーズに即して戦略的な値付けができるのもオリジナルソフト商材の強み。これをテコにシステム構築案件の受注数を増やし、ビジネス拡大につなげる考えだ。

 ソフト製品については、これまでグループ外に向けた販売比率はライセンス売り上げ全体の1割程度と少なかった。独立した会社になったことで「メーカーとしての役割を強める」とし、グループ会社でディストリビュータのイグアスなどを経由しての外販にも力を入れる。

 同業態のOSKも外販に積極的で、外部の販売リソースを活用してオリジナル商材を拡販する動きが活発化しそうだ。JBATのオリジナルソフトの売り上げは昨年度(2008年3月期)約8億円だった模様だが、2年後の2010年度には20億円に増やす。旧アプティのハードウェア製品を含めるとJBATの年商は100億円規模となる。

 販売系SIerはこれまで粗利が薄いハードウェアの扱い量が多く、相対的に利益率が低い傾向がみられた。JBグループ全体の昨年度の営業利益率は計画値ベースで3.5%程度。競争優位性が高いオリジナルソフトを多数投入していくことにより、早い段階でそれを5%以上に高める方針だ。