カシオ計算機グループ会社でシステム販売会社のカシオ情報機器(前田憲一社長)は、経済産業省が表彰する今年度の「情報化促進企業」に選ばれた。17年前に販売を開始し、累計約7万5000台を出荷した事務処理専用機「楽一(らくいち)」を中心に国内中小・零細企業のIT化促進に貢献したことが評価された。「楽一」はハードウェアとソフトウェア一体型のスタンドアロン機。今年度(2009年3月期)下期以降には、クライアント/サーバー(C/S)に対応してカスタマイズできる仕様に変更し、新たなチャネルも開拓する。

 同社が受賞したのは、経産省が10月の「情報化月間」に大臣表彰する「情報化促進貢献企業等表彰」のなかの「情報化促進部門」。具体的には、中小・零細企業が従来の商慣習や指定伝票・請求書などの処理を変えずにIT化できる事務処理専用機「楽一」の販売実績や、同社や販売パートナーに在籍する機器専門家が指導・相談を受け付けるサポート体制が高く評価された。

 「楽一」は、液晶画面、キーボード(テンキー含む)、プリンタ、販売管理などのソフトが一体になった専用機。導入企業の規模は、95%が従業員20人未満の中小・零細企業で、業種を問わず幅広く使われている。パソコンのキーボード操作に不慣れな人でも画面に直接ペン入力できるほか、異なる形式の帳票や伝票類を雑多に配置しても綺麗に印字するプリンタなどの工夫がなされており、ITスキルが不足する高齢者にも受け入れられた。

 今回の受賞について前田社長は「ITを敬遠する中小・零細企業にも簡単に使ってもらえることにこだわり続けて開発した製品。それだけでなく、全国約80社の販売代理店と連携し、徹底した顧客支援を実施した。地域密着で出前型の活動を展開した成果だ」と、製品コンセプトだけでなく売り方の工夫で得た栄冠と認識している。

 同社の年間売上高は約160億円。「楽一」関連事業はこのうち4分の1を占める。今年度下期には、「コンピュータに慣れてC/S環境で利用するニーズが高まっている」(前田社長)とみる。そこで、「楽一」の機能をC/S環境で使う顧客が増えることを想定し、カスタマイズ可能なより汎用的な新システムも提供する計画だ。従来の「楽一」の販売代理店は、旧オフコンディーラーや事務機ディーラー、ソフト販売会社などが主流。新システムの販売では、SE(システム・エンジニア)が所属するソリューションベンダーの新規チャネルを開拓し、顧客の層を拡大する考えだ。