グーグル(辻野晃一郎社長)は、販売パートナーの増強に乗り出す。企業向けの電子メールやカレンダーなど情報共有サービス「Google Apps」の販売パートナーを向こう1年程度で60社規模に増やす見通し。現状のパートナー数は10社程度に過ぎないが、大幅なコスト削減が見込めるクラウド型サービスへの需要が高まっていることを受け、販売パートナーを増強する。企業向けクラウドビジネス市場におけるシェア拡大を目指す。

 グーグルは、これまで「Google Apps」の販売パートナー増強には必ずしも積極的ではなかった経緯がある。Google Appsの企業向け販売を2007年に始めてから08年6月までは実質的にグーグルによる直販がメイン。その後、富士ソフトなどの販売パートナーを徐々に増やしてきたものの、その数は10社程度だった。だが、ユーザーのコスト削減ニーズが高まり、クラウド型サービスのGoogle Appsの引き合いが増加したうえに、マイクロソフトも同種のクラウド型サービスに参入するなど、事業環境が変化したことなどを受けて、販売パートナーの拡充に乗り出す。

 パートナー施策の大きな方針転換ではあるものの、無条件にパートナーを増やすわけではない。Google Appsの販売パートナーは大きく分けて“すべての顧客企業にライセンスを販売できるパートナー”と、従業員数が250人を下回る“中小規模ユーザーにしかライセンスを販売できない”制限つきの販売パートナーの2種類がある。今回は主に後者の制限つきパートナーを重点的に増やす。今年に入ってすでに「50社以上の申し込みが来ている」(グーグルの大須賀利一・エンタープライズセールスマネージャー)といい、既存パートナーと合わせて60社ほどに拡大する見通しを示す。

 制限なしの販売パートナーは、現時点で富士ソフトと電算システム、USENの3社のみ。制限つきのパートナーは、サイオステクノロジーやベイテックシステムズ、アイキューブドシステムズなどで、今後さらに数が増える見通しだ。制限つきパートナーが従業員数250人以上の企業にライセンスを販売する場合は、富士ソフトなどからライセンスを販売してもらう必要がある。制限つきパートナーの多くは、Google Appsの開発パートナーを兼務しており、大規模システム案件では、周辺のSI(システム構築)で収益を確保することになる。

 また、大規模ユーザー向けの販売パートナーについては、システム納入後の影響の大きさを考慮し、「少し時間がかかってもセレクティブ(選択的)にやっていきたい」(大須賀マネージャー)と、慎重に取り組む。マイクロソフトなどと比較して、グーグルは企業ユーザー向けのビジネスに不慣れであり、この弱点を補えるだけの有力販売パートナーを見つけられるかどうかがポイントになる。(安藤章司)