ソフト開発・SIの富士通ビー・エス・シー(富士通BSC、兼子孝夫社長)は、自社開発の建設業向けERPパッケージ「CAP21」をクラウド化して販売する。早ければ今年度(2010年3月期)内に販売開始する計画だ。「CAP21」では、完工高100~1000億円規模の中堅・大規模建設会社をターゲットにSIサービスを含めて販売しているのに対し、新たなクラウドサービスでは中小建設会社を想定顧客に据える。景気後退の影響によるIT投資抑制は建設業も例外ではないというが、「『CAP21』販売は順調に伸びている」(兼子社長)。新サービスを加えることで、建設業向けビジネスをさらに伸ばす方針だ。

自社パッケージソフトをサービス化

 「CAP21」は、建設業に特化したERPで、富士通BSCが自社開発したパッケージソフト。直販のほか富士通や同社のパートナー企業を通じた間接販売で、約400社に納入した実績をもつ。今年度の販売は好調で、見込み案件として新規顧客8社、既存顧客からの追加案件が14社、リース切れに伴うリプレース案件が2社ある。競合はNECの「EXPLANNER」で、そのほかに目立った対抗製品はなく、シェアを二分している状況という。

 案件の増加だけでなく、開発単価も上がっている。昨年度までの平均単価は3500万円だったのに対し、今年度は5000万~1億円に上昇している。今期すでに受注済みの5社のうち、3社が上場企業で、4社が5000万円以上の開発プロジェクトという。

 兼子社長は、「不況の影響で建設業もIT投資は抑制傾向だが、生き残りをかけてIT投資する企業もある。それらのIT投資に積極的な企業、とくに大手企業からの受注に成功している」と好調な理由を話している。富士通BSCには、「建設業経理士」および「建設業経理事務士」の資格保有者が合計で16人在籍するなど、建設業の業務に精通した人材がいることも強みだ。富士通BSCによると、建設業は全国に約700社存在し、そのうち約60%が関東・甲信越地方に集中している。ERPの導入済み企業はあるものの、ビジネスポテンシャルは高いとみており、事業を強化することにした。

 年度内の発売を目指すクラウド型サービスは、「CAP21」が持つ機能をネットワークを通じたサービスとして提供するもの。具体的に提供する機能や価格は未定なものの、「ターゲットを中小企業に定め、安価な価格で販売する。可能であれば、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスも絡めた形で提供したい」(兼子社長)という方針を決めている。サービスを提供するITインフラは、アウトソーシングビジネスで協業し、東京都内に複数のデータセンターをもつビットアイルの施設を活用する計画だ。