JFEシステムズ(岩橋誠社長)が、自社ソフトプロダクトのビジネスを伸ばしている。不況の影響を受けにくい食品業向けや、製造業のコスト削減需要に応える製品を前面に打ち出したことが奏効。今期(2010年3月期)主要自社プロダクトの受注が軒並み前年度を上回る見通しを示す。顧客の生産能力を高める従来型のIT商材ではなく、品質を高めたり、コストを下げることに提案の焦点を絞った同社の“作戦勝ち”といえる。

コストと品質狙う“作戦勝ち”

岩橋誠社長
 伸びているのは、食品業向けの品質管理や、製造業向け原価管理システムなど。食品向けは昨年度の8億円弱から今期10億円を超える勢いで推移。原価管理は10社ほどから受注の手応えがあり、昨年度を上回る見込み。電子帳票システムでも、金融向けの大型案件もあって受注増の見通しだ。

 ポイントは“品質とコスト”にある。製造業を中心に生産能力の余剰感があることから、「生産力を高めるITは売れない」(岩橋社長)と、早々と見切りをつけた。その一方で、コストを削減できるITや、“食の安全性”を担保するシステムの売り込みに注力。国際的には、中国から北米への食品輸出が拡大。両国で食の安全性への関心が急速に高まっており、この分野での「海外進出は十分に可能」と判断した。食品業向けのパッケージをベースとしたSIビジネスを向こう3年で「倍増させる」と、鼻息が荒い。中国では食品加工会社が日本のおよそ10倍の100万社あるといわれ、潜在需要は巨大。卸や物流まで含めたSI案件に仕立てることで、受注の単価アップを狙う。

 原価管理のパッケージ製品「J−CCOREs(ジェイシーコアーズ)」は、もともと親会社のJFEスチール向けの大型システムだったが、中堅・中小企業や、組み立て系の製造業にも適用できるように作り変えた。今は直販が中心だが、今後は販売パートナー網を構築する。向こう1年で、「販売パートナーを5~6社募る」と、製造業に強いSIerと積極的に組むことで受注拡大を目指す。同社全体の業績は、JFEグループ向けのシステム案件の縮小などで、今期は大幅な減収減益の見通し。自社プロダクトを成長エンジンの一つと位置づけて業績を回復させる。(安藤章司)