TDCソフトウェアエンジニアリング(TDCソフト、谷上俊二社長)は、モバイルサービスやクラウドなど独自商材系の売上高を今後3年間で倍増させる。Salesforceなどのパブリッククラウドと、モバイルを活用したフロントオフィスシステムとの融合が進んでいることに着目。同社は、ライバル他社に先駆けて、クラウドとモバイルを連携させるサービスに取り組んできた。受注環境が厳しいなかでも、「この領域の引き合いは強い」(谷上社長)と判断。重点的に取り組むことで売り上げを伸ばす。

民需系ビジネスの浮揚につなげる

谷上俊二社長
 TDCソフトは、SalesforceやOracle CRMなどの営業支援や顧客管理などのアプリケーションを携帯電話で使えるようにする独自のサービス開発に力を入れてきた。2009年度上期(4~9月期)では、一般産業や公共向けのSI・ソフト開発の売上高が前年同期比24%減と厳しい状況下でも、モバイルなど独自商材系の売り上げは同1.8%増と堅調に推移。谷上社長は、「独自商材系の引き合いは強く、本来ならもっと伸びるべき領域だ。とうてい満足できる数字ではない」と、重点的に伸ばす方針を示す。

 全社の業績を見渡すと、産業・公共分野の落ち込みが大きかったこともあり、金融向けのSI・ソフト開発の上期売上高構成比が約65%に拡大。独自商材系の売上高は約11%にとどまる。モバイルやクラウド商材など、他社にないサービスや販売手法を前面に出すことで、新規顧客を積極的に開拓。モバイル系の商談から入っても、「周辺のSIやカスタマイズ、ERPなど基幹系システムの受注増にもつながる可能性が高い」と予測。強みのモバイル系クラウドをテコに、民需系のSI・ソフト開発のビジネスを浮揚させる。

 モバイルでは、一つの業務アプリを複数のキャリアや携帯電話の機種に対応させるミドルウェア開発で力を発揮してきた。2010年はマイクロソフトのクラウド「Azure」も立ち上がる見込みで、既存のSalesforceなども含め、「一つのアプリを複数のクラウド基盤に対応させる」ことで、顧客の多様なニーズを掴む方針。

 当初の3か年経営計画では、09年度(10年3月期)は年商200億円を念頭に置いていたが、経済危機の煽りを受けて計画を見直した。09年度の売上高は前年度比1.1%増の160億円を見込む。直近では金融系の売上高構成比が6割余りを占めるが、独自商材やクラウドサービスをテコに産業向けのSIやソフト開発を伸ばす。将来的には金融と産業・公共の構成比を半々にもっていくことで、トップラインの押し上げに力を注ぐ。(安藤章司)