NTTコムウェア(杉本迪雄社長)は、2009年8月に自治体などに向け「タンジブル災害情報管理システム(デジタルペン版)」を提供開始、自治体で導入の検討が進むなど、動きをみせそうだ。

 タンジブル・ユーザー・インタフェースとはマサチューセッツ工科大学メディアラボの石井裕教授が提唱するUIの手法で、無形の「情報」に形を与え、直接触れて操作できるようにしたインタフェースのこと。

 NTTコムウェアでは、津波の大きさ、住民の要避難時刻、道路の通行状況、火災発生などをシミュレーションする防災計画や教育機能をもつ「タンジブル災害総合シナリオシミュレータ」を06年に、災害時の情報管理を目的とした「タンジブル災害情報管理システム」を07年にそれぞれ発表した。「センステーブル」という台にプロジェクタで地図を投影し、その上にパック(駒)を配置して操作するもの。センステーブルもパックも特注品を使っていたために、「1システムにつき数千万円で販売せざるを得ず、自治体の防災予算全額に匹敵する高額製品になってしまい、関心は示してもらえるものの、導入に至らなかった」(CRM&ビリング・ソリューション事業本部 営業企画部 営業担当の香月亜希氏)という。

 そこで、電子ペーパーと、電子ペンといった市販技術を使った09年8月に「タンジブル災害情報管理システム(デジタルペン版)」をリリースした。価格は市販品を使うことで、自治体が実際に導入を検討できる範囲の1500万円程度に抑えた。「実際に導入に結びつきそうな案件が出始めている」(香月氏)とその効果を話す。

 新製品は、電子ペーパーにプロジェクターで地図を投影し、電子ペンで、あたかも普通の紙とペンを使っているかのように情報を入力できる。

 災害種別や交通規制・現地拠点・各部隊の位置などのアイコンをスタンプ感覚で地図上に配置したり、被災範囲を囲む、不通道路・輸送可能路などを線で引くといった入力の仕方も可能。同じく電子ペーパーでできた付箋紙の上から書き込むと「メモ」として地図上に貼り付けて電子データとして保存可能。災害種別ごとや時系列で情報入力の履歴を確認することができる。また、線の距離や囲った範囲の面積なども計測できるのが特長だ。(鍋島蓉子)

アナログ感覚で、スムーズに情報入力できる