ガートナージャパン(日高信彦社長)は、CIOが2012年に抱える課題に関して、2011年10~12月に調査した結果を公表した。全世界で2335人、日本ではさまざまな産業の企業に所属する72人のCIOから回答を得た。

 2012年のIT予算は、前年度に比較して「増加する」と回答したCIOは世界で45%、日本では34%だった。一方で、「減少する」と回答したのは世界で19%、日本でも19%だった。IT予算の前年比増加率の平均値は、世界で0.5%増、日本で0.3%の増と、大きな差はなく、どちらもほぼ横ばいという結果だった。

 世界のCIOが重視するビジネス戦略としては、コストを削減する一方で、「成長を加速する」「新規顧客を獲得・維持する」といった攻めの姿勢がみられた。日本でもこの傾向は共通だが、「IT人材の確保・育成」「新規市場や地域への業務拡大」が上位にランクインした。

 世界のCIOが優先するテクノロジには、1位の「アナリティクスとビジネス・インテリジェンス(BI)」以下、「モバイル・テクノロジ」「クラウド・コンピューティング(SaaS/PaaS/IaaS)」「コラボレーション・テクノロジ(ワークフロー)」と続き、CIOが顧客/市場とのつながりを重視していることが明確になった。日本では、3位に「エンタプライズ・アプリケーション(ERP)」がランクされる一方で、「クラウド・コンピューティング」は9位に低迷している点が特徴としてみられた。

 ビジネス面でITがどの程度貢献できているかとの質問に対して、世界では「顧客経験価値」「企業の学習と成長」「顧客エンゲージメント」の順であったのに対して、日本では「生産/サービスの創造」が圧倒的で、「企業の学習と成長」は最下位という結果だった。

 日本の回答傾向について、ガートナーは「先端テクノロジーや変化に対して、総じて慎重で、ERPへの優先度が高いといったように、アジア圏などの新興成長市場におけるビジネスを支援するためのグローバル・ロールアウトが急務になっている傾向がみられる。また、日本では製品/サービスそのものに対する志向が依然として強く、顧客経験価値や学習と成長への志向が相対的に弱いなど、『モノ志向』がCIOのマインドにもみられ、カスタマー・インの発想が前面に出にくくなっている。そのため、先進テクノロジを駆使して、顧客/市場にフォーカスしたビジネス戦略にさらに積極的に関与することが必要だ。これが、ITとビジネスとの信頼関係を強化し、自らのプレゼンスを高めることにつながる」と指摘している。(信澤健太)