ガートナージャパン(日高信彦社長)は、東日本大震災の影響を考慮した最新の国内ICT市場規模予測(コンシューマ向けと企業向けの合計)を発表した。2011年通年の市場規模は前年比1.2%減の28兆9800億円と、マイナス成長を見込んだ。ただ、震災の影響は一時的ともみており、11年後半から徐々に回復、12年は通年でプラスに転じて1.2%増の29兆3350億円とした。震災によるIT産業の縮小は限定的との見解だ。

 2011年ICT市場をジャンル別の伸び率でみると、ハードウェアが5.1%減、ソフトウェアが0.9%増、ITサービスが2.1%減、テレコムが0.2%減となった(図参照)。


 企業の11年度のICT予算額の増減を、震災前と震災後で比較した調査結果(速報値)をみると、震災後に「予算額を減少させた」と回答した企業は8%未満で、90%が「変更なし」と答えているという。「多くの企業で、震災前に11年度の予算額がほぼ決定しており、計画停電と震災の影響で、ビジネスに直接的に大きなダメージを受けた企業以外は予算額を変更しなかった」(片山博之リサーチディレクター)ことが主な理由だ。

 一方で、調査では予算額の変動はないものの、投資分野に変化がみられた。11年度に実施するITプロジェクトのうち、優先度の高い3項目を震災前と震災後で比較すると、項目を変更した企業は全体の30%を超える。アプリケーション導入・開発の投資プロジェクトを減らし、事業継続計画・管理(BCP・BCM)関連の投資を増やす傾向が顕著になっている。

 とくに、従業員数2000人以上の大企業では、BCP・BCMや災害復旧計画を見直す企業が44%、新規で導入する企業が24%に達した。「ただ、これらのBCPやBCM、災害復旧計画関連の投資は一過性のもので、12年以降は災害による事業継続に対する関心が低下し、新規の需要は小さくなる」(片山氏)。

 また、企業向けに行ったクラウドコンピューティングに関する調査では、震災後にプロジェクト件数の増加がみられた。10年度の1.4%から11年は1.7%に微増。10年は、SaaSが大半を占めていたが、11年はPaaSやIaaSへの予算が増加する傾向が出ているという。(木村剛士)