ガートナーは、インドに拠点を置くITサービスプロバイダ上位10社の成長が、2010年に再加速したと発表した。2010年、世界のITサービス・プロバイダ上位10社の年間成長率が5.8%、世界市場全体の成長率が3.1%であったのに対し、インドのITサービス・プロバイダ上位10社の年間成長率は19.9%だった。

インドを拠点とするITサービス・プロバイダ上位5社の2010年全世界売り上げ(単位:百万ドル)

 ガートナーは、インドのITサービス・プロバイダが景気後退の局面から完全に脱し、右肩上がりの成長局面に戻ったとみている。インドのITサービス・プロバイダ上位10社中8社の売上げはそれぞれ10億ドルを超え、10社の合計売上げは2010年のインドのオフショア業界全体の半分近くに上った。

 アーラップ・ロイ主席アナリストは、「2010年、インドのITサービス・プロバイダ上位5社は合計で45億ドルの成長をみせた。業界全体からみた場合、インドのプロバイダが単独で占める割合は非常に少ないものの、それらをグループとしてみると、市場に対して厳然とした影響力を有している。上位5社が全体の売上増加に占める割合は93.7%に上り、これまでと同様にリーダー・グループが後続グループを引き離すという構図に変わりはない。ただし、リーダー各社よりも小規模なプロバイダの市場シェアは、今後相応の伸びを見せるだろう」と分析している。

 インドのプロバイダ上位5社中、Tata Consultancy Services(TCS)はサービス・プロバイダの世界ITサービス・ランキングで21位と、前年より3ランクアップした。2010年に最も高い成長率(40.1%)と多額の売上増(13億ドル)を達成したのはCognizantだった。

 「多様化の重要性を認識したインドのプロバイダは、これまでと変わらない営業利益の確保に重点を置きながら、地理的な事業範囲の拡張とサービスラインの内容の拡充を図っている。上位10社中で2010年の売り上げが減少したのは、2009年に起きた会計スキャンダルの影響からまだ抜け出せていないMahindra Satyamだけだった」(ロイ主席アナリスト)。

 一方で、「上位5社が大きな成長を遂げたことは明らか。しかし、世界を網羅する堅牢な物流基盤によるコスト面の有利さを生かした多国籍企業との厳しい競争や、幅広い物流モデルによる競合環境と購買動向の変化など、さまざまな要因を考えると、コスト面のメリットに重点を置いた現在のモデルでは数年前のような25%以上の継続的な成長率を維持することは難しくなるだろう」とも指摘している。

 日本市場では、インドのITサービス・プロバイダはいずれも苦戦が続いている。ロイ主席アナリストは、インド企業の認知度がまだ高くないことに加え、IT投資の回復が米国やアジア諸国に比べ遅れたことなどを、その理由として挙げる。ただし、日本企業の海外進出に伴い、ITのグローバル化は日本のIT組織にとって重要な課題になりつつある。日本でも、インドのITサービス・プロバイダのサービス提供能力に期待する動きが広がっていくと予測している。(信澤健太)