東芝情報システム(恩地和明社長)は、医療情報システム事業の拡大を目指す。電子カルテを中核とする医療情報システムに加えて、介護・福祉、健康診断・予防医療など周辺ビジネスを統合的に連携することでビジネスを伸ばす戦略だ。こうしたヘルスケア全般をカバーする事業全体について、向こう5年で売り上げを3倍に伸ばす目標を掲げる。

渡邉一正事業部長
 東芝情報システムのヘルスケア事業の売上構成比は、医療情報システムが約7割、介護・福祉が約2割、健診・予防が約1割。これは、国内のヘルスケア市場全体の構成比と相似しているが、同社は「介護・福祉や健診・予防分野を医療システムの伸び以上に重点的に伸ばしていくことで売り上げ増を図る」(渡邉一正・ヘルスケア事業統括部事業部長)という戦略を打ち出している。

 この背景には、病院や診療所、介護・福祉施設、健診・予防医療機関といった、地域全体をネットワークで結んで電子カルテやレントゲン、CTスキャンなどの医療用画像の保管通信システム(PACS)を共有する「地域医療連携ネットワーク」の潮流がある。大規模病院で電子カルテやPACSが普及する一方で、中堅・中小病院や診療所の電子カルテの普及率は「大病院のように8~9割というわけにはいかない」(同)とみる。保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)の資料でも200床未満の中堅・中小病院の2015年の電子カルテ普及率は50%と予測されている。

 そこで打ち出したのが、地域医療連携ネットワーク全体をカバーするスマートコミュニティ的アプローチだ。とりわけ、介護・福祉や在宅医療の現場で使うIT機器は、NTTドコモの「らくらくホン」のような誰でも使える簡便なアプライアンス(専用装置)型が望まれるケースが多い。

 東芝情報システムは、組み込みソフトの技術に長けたSIerであり、また東芝グループ全体を見渡せば、医療用のハードウェアも数多く手がけている。ハードとソフトを組み合わせた商材を強みとして、地域医療連携ネットワークシステム全体を見据えたビジネスを組み立てる。こうした施策によって、向こう5年でヘルスケア事業全体の売り上げを3倍に増やそうとしている。(安藤章司)