富士ゼロックスシステムサービス(富士ゼロックスSS)は、文字情報基盤サービスのデファクトスタンダード化を推し進めている。これはマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)の実施を視野に入れたもので、氏名や住所などに使う漢字を全国規模で使えるようにする文字情報プラットフォームの確立を狙うものだ。富士ゼロックスグループは電子カルテ分野の文書管理でもプラットフォームとなる共通基盤戦略を推進しており、グループ特有の戦略的アプローチの一つといえそうだ。

内藤健太
オフィス長
 富士ゼロックスSSが手がける文字情報基盤サービスは、クラウド型の「Web文字基盤サービス」として今年5月にスタート。約9万字をパソコンやスマートデバイスのブラウザ上で表示できるサービスで、マイナンバー制度が始まる予定の2016年には30億円規模のビジネスに育てる目標を掲げる。

 現代の漢字は清朝時代に制作された康熙字典(約5万字を収録)がベースになっており、IPA(情報処理推進機構)の「IPAmj明朝フォント」も、日本固有の文字などを含めた約6万字で構成されている。本来であれば、これですべてカバーできるはずだが、実際は「3万字ほど足りない」(内藤健太・パートナーアライアンスオフィス長)というのだ。

 富士ゼロックスSSは、自治体の戸籍電算化で60%超のシェアをもつトップベンダーで、電子化した文字はこれまで約9万字に達する。戸籍のなかには誤字や固有文字も含まれるが、「人名や地名だけに、他の字に置き換えたり、切り捨てたりできない」(内藤オフィス長)。従来は自治体ごとに個別にフォントを用意し、役所内だけで使えるスタンドアロン型で対応してきた。しかし、マイナンバーのように全国横断で文字情報を共有するには「IPAmj明朝フォント」でさえ不足してしまう。そこで「Web文字基盤サービス」では、全国で使える文字基盤を自治体関連システムを開発するITベンダーに有料で提供。これによって戸籍の電子化を通じて存在が判明している約9万字すべてを使えるようになる。

 富士ゼロックスグループは、電子カルテの分野でも、文書管理部分を切り出し、オープンな共通サービスにすることで、スタンドアロンやベンダーロックからの離脱を推進。文字情報や文書管理などの共通的に使えるプラットフォームをおさえることで、関連ビジネスを有利に進める戦略を展開する。(安藤章司)