データセンター(DC)サービスのIDCフロンティアは、「ビジネスプラットフォーム戦略」を加速する。ユーザー企業が求める「ITサービス指標」や「ビジネス目標」を共有し、それらを達成することで得られた利益を両者で分け合うのが基本的な考え方だ。同社は、ユーザー企業と指標や目標を共有することで、ユーザーにとってのコスト削減、IDCフロンティアにとっての売り上げ増を目指していく。

石田誠司
取締役
 DCのサーバーラックスペースや仮想サーバーを貸与する従来型のビジネスモデルでは、ベンダー側は多くのスペースやサーバーを貸せば貸すほど売り上げが増える。一方、ユーザーは借り入れるITリソースを必要最小限にとどめたい心理が働くので、「お互いに意識の向く方向が一致しない」(IDCフロンティアの石田誠司・取締役カスタマーサービス本部本部長)状態が続いてきた。そこでベンダーとユーザーが同じ方向を向くようにする施策が「ビジネスプラットフォーム戦略」である。

 まず取り組んだのが「アラートゼロ」運動だ。アラートとはシステムの負荷が高まったり、障害が起きたときに警報を鳴らす仕組みで、ユーザーはシステム障害を恐れるあまり低い閾値でアラートを鳴らそうという心理が働く。IDCフロンティアは頻繁に発報されるアラートの対処に追われてしまい、コストがかさむ割にユーザー満足度が高まらない悪循環に陥っていた。そこで一部アラートを有料化すると同時に、ユーザーの利用状況に合わせた運用メニューを提案。「アラート発報数が少なくなれば、結果的にユーザーが当社に支払う費用が下がる」(石田取締役)ように設計したところ、今年に入ってから次第に効果が現れ、直近では発報数が前年比で4割ほど減った。

 現在ではさらに一歩踏み込み、ユーザーとの商談の段階で、ユーザーが求めるITサービス指標やビジネス目標を共有し、ITリソースを増やすときには増やし、減らすときには大胆に減らせるようユーザーとの運用の一体化を進める。これによってユーザーはコスト削減が可能になり、IDCフロンティア側は、「運用サービスを重要な付加価値の一つとして、収益増に貢献する度合いをさらに高める」という考えだ。例えば、ユーザーがオンラインゲーム会社だとすれば、書き入れ時の夏休みシーズンはシステムの負荷の増減が激しくなりがち。そこでゲームプレーヤーの動向も踏まえ、ユーザーと密接に歩調を合わせながら運用を行いやすくなる。

 ユーザーとの目標を共有する「ビジネスプラットフォーム」型の課金形態は、現時点ではまだ全体の2割ほどだが、今後、こうした取り組みを加速していくことで、向こう数年で商談の半分ほどをビジネスプラットフォーム戦略に則った付加価値重視のサービスに切り替えていく方針だ。(安藤章司)