ASEANならあり!? 「いきなりクラウド」

 国や地域によって道路の事情や税制が異なるので、どんなタイプのクルマが人気を集めるかに違いが出てくる。ASEAN諸国もその例外ではない。タイでは小型車がよく売れる。インドネシアでは、バンタイプのクルマの評判が高いとか。このところ、ASEANで中間層が拡大して、自動車を購入できるほどの経済的余裕をもつ人が増えている。現地の多くの人たちにとって、クルマを買うことは、人生初のイベントだ。購入に際して、どこの販売店にするかを慎重に考え、万が一の故障に備えて、保守サービスが行き届いている店を選択したいというふうに考える人が多いだろう。

 クルマに限らず、中間層の普及を原動力として、ASEANでは「消費社会」が生まれつつある。競争が激化し、売る側は、消費者を取り込むために最新技術の活用に積極的だ。

 NECの自動車インテグレーション部でマネージャーを務める野島弘邦氏は、「ASEANで自動車販売店にクラウドサービスを提案すれば、『タブレット端末でサービスを利用したい』という要望が必ず出る」という。低コストで導入が可能な「クラウド」と、サービスをどこでも利用できる「モバイル」を組み合わせたソリューションが、ASEAN諸国で有望な商材になりそうだ。

 日本をはじめとする先進国では、オンプレミス型のシステムがすでに企業に入っていることが、クラウドの普及にとってのネックになっている。だが、そういった「レガシー」がないASEANでは、“いきなりクラウド”のマインドは、浸透しやすいと考えられる。日本のITベンダーは国内で展開している製品・サービスの「ローカライズ」というよりも、クラウドを活用して、ASEAN独自の商材を投入すれば、受注のチャンスを得ることができるのではないか。

 ASEAN諸国では、自動車と同じように、ITに関してもニーズが多種多様だ。しかし、クラウドの基盤を押さえ、標準化したプラットフォームを用意すれば、サービス開発を迅速化して、多様なニーズに対応しやすいだろう。ASEANで形成されつつある消費社会を商機と捉え、クラウドサービスでチャンスをものにする──。成功するために日本ITベンダーに求められるのは、迅速な決断と動きだ。(ゼンフ ミシャ)