富士通システムズ・イースト(FEAST、石川享社長)は、2020年までに海外関連事業を主要事業に育成すべく、体制整備を進めている。とくにASEANは重点地域として位置づけており、現地人材の採用を含め、石川社長は日系企業向けにとどまらないビジネス展開を構想している。武器となるのは、同社のSIスキルを生かして開発した自社クラウド商材だ。(本多和幸)

石川享
社長
 富士通グループ最大規模のシステムインテグレータ(SIer)であるFEASTは、国内SIビジネスの縮小を見据え、海外ビジネスを新たな事業の柱の一つに据える計画だ。現在、海外関連事業の売上高は70億円弱で、全社売上高の5~6%程度の規模。同社はこれを、3~4年で150億円、全社売上高の10%まで引き上げたいと考えている。石川社長は、「国内のSI案件も公共系、ヘルスケアなどは堅調だが、こうしたトレンドが続くのも長くて東京五輪まで。早急に、海外でのビジネスを柱として確立したい」と危機感を露わにする。

 この成長を現実のものとするために重点的に攻める地域は、ずばりASEAN、とくにタイ、ベトナム、マレーシアだ。これらの地域では、日系企業を対象とするロールアウト型のシステム構築案件は従来から好調だった。しかしここにきて、クラウド商材の需要が急伸している。2014年には、タイ市場に投入した物流センター管理システム「Logifit WM」のクラウド版が現地で好評を博し、複数の受注が即座に決まった。「軽めのソリューションが想像以上に好評で、ASEANでどんどん横展開していく予定。日系企業だけでなく、現地企業相手のビジネスも十分に可能だという手応えを感じている」(石川社長)という。Logifit WMを含むFEASTの独自商材は、ユーザーの業務プロセスに即したシステム開発を多数手がけてきた同社のノウハウを注入したもの。それをクラウドで使うことができるという利便性が評価された。

 海外事業の拡大に向けて、人材の確保・育成も着々と進めている。例年、新卒採用の2割は外国人が占めているが、ASEANでは現地人材の採用にも踏み出す。石川社長は、「現地ビジネスを本社がきちんとコントロールする体制をつくるには、人材採用のノウハウも身につける必要がある。痛い目にあうかもしれないが、そういうふうに経験を積まないと、海外ビジネスを伸ばすための次のステップに到達できない。グローバルでの人材調達のノウハウは、適正なコストですぐれた技術者を確保することに役立つので、長期でみればリスクヘッジにもなる」と話す。少人数の採用から始め、徐々に規模を拡充していく方針だ。