【上海発】華為技術(ファーウェイ、徐直軍・輪番CEO兼取締役副会長)は、9月18~19日、上海で法人向けICTソリューション事業の年次イベント「ファーウェイ・クラウド・コングレス 2015(HCC 2015)」を開催した。今年は世界約80か国・地域から1万人程度のIT関係者が参加。クラウド分野のエコシステム構築を最重要課題と位置づけていることを強調した。(真鍋武)

徐直軍・輪番CEO兼取締役副会長
 ファーウェイのクラウドエコシステム構築に向けた戦略は、同社のITインフラ製品と、パートナー企業のソフトウェア、アプリケーション、サービスなどを組み合わせ、エンド・ツー・エンドのソリューションを提供する「Huawei Business-Driven ICT Infrastructure(BDII)」というもの。イベント冒頭に基調講演した徐・輪番CEOは、「われわれはITインフラにフォーカスする」と述べ、自社で業務アプリケーションを開発・提供しない考えを改めて示した。

 また、徐・輪番CEOは、クラウドエコシステム構築に向けた中核商材として、「FusionSphere」「FusionInsight」「FusionStage」の三つを挙げた。FusionSphereは、OpenStackをベースとしたオープン型のクラウドOSで、分散しているデータセンター(DC)内のリソース・プールを統合管理するもの。同日発表した最新の「6.0」バージョンでは、可用性の強化やSDN対応などを図った。FusionInsightは、ビッグデータ統合分析基盤で、すでに中国の3大通信キャリア、10大金融機関の半数が採用している。FusionStageは、新開発したアプリケーション開発プラットフォームだ。ファーウェイは、パートナーと連携して、こうしたクラウド関連の商材を特定業界向けのソリューションに発展させる「インダストリークラウド」を重要視。先行して、すでに金融やメディア業向けのクラウドソリューションで実績を積み上げている。今後は、クラウドエコシステム構築に向けて、1万人の認定技術者を育成する方針だ。

 一方、ファーウェイは、今年7月末に中国市場で自社のパブリッククラウドをリリースし、すでに国内10拠点にDCを設置している。これについて徐・輪番CEOは、「われわれのパブリッククラウドは、選択肢の一つに過ぎない」と説明し、他のクラウドベンダーとの間に競争意識がないことを強調した。実際、ファーウェイは、ドイツテレコムと協業して、同社のパブリッククラウド向けにITインフラを提供するなど、クラウドベンダーとの協業を強化している。日本を含めた海外では、自社のパブリッククラウドを提供せず、ITインフラの提供を通じて、各地の通信キャリアのクラウド事業を支援する方向性にある。

 また、イベントでは、閻力大・法人向けICTソリューション事業グループプレジデントなど、複数のファーウェイ幹部が講演したなかで、「われわれにできることは限られている」「われわれはアプリケーションはつくらない、顧客のデータにはタッチしない」といった発言が頻出。クラウド・エコシステム構築にあたって、パートナーの力が不可欠であることを印象づけた。

 ファーウェイの2014年度(14年12月期)法人向けICTソリューション事業の売上高は、194億元(約3650億円)。2019年度までに、これを100億米ドル(約1兆2120億円)に拡大させることを目標に掲げている。