2月8日は中国の伝統的な祝日、旧暦の正月「春節」である。中国本土のみならず、全世界の華僑にとって、1年で最も大切な日だ。「春節」には、「春運(春節の帰省・Uターンに伴う特別運輸体制)」により中国全土がラッシュになり、いやがうえにも正月気分を盛り上げる。正月用の衣服を着た子どもたちは「紅包(赤い封筒に入れたお年玉のこと)」を貰う。さまざまな行事が全土で繰り広げられる。

 2016年、春節の前後40日の流動人口は、28億人になると中国の各メディアが伝えている。世界最大の民族大移動だ。

 こういった伝統の行事がITサービスの浸透によって変わっていく。その一つが電子紅包で、従来の紅包文化に新たな革命をもたらした。14年、騰迅グループの「微信支付(Wechatの支払決済サービス)」が初めて、家族や友人、同級生など、グループ内のメンバーに紅包の総額を設定して、ランダムあるいは人数を設定して送る電子紅包を始めた。また、微信支付は2年連続「春晩(大晦日に放映する音楽テレビ番組)」の協力パートナーに選ばれた。これを機に「QQ銭包(メッセンジャーアプリの支払い決済サービス)」と合わせ、2億(騰迅グループ発表)ユーザーを獲得し、一気に支付宝の4億ユーザーに近づいた。

 中国の大手インターネット企業BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)の三社は、間近に迫る16年春節のために、紅包に関する戦略方針を打ち出した。アリババグループのオンライン決済サービス「支付宝」は、2億688億元の出資で微信支付を退け、唯一、春晩の協力パートナーに選ばれ、金銭のみならず、メーカー、小売りなどのクーポン券形式の「福紅包」を配布し、O2Oの新たなユーザー獲得を狙う。

 微信は、10日間の微信モーメンツの広告収入全額を無料の紅包として、中国および世界に広がっている華僑、海外旅行中の人に届けると発表。一方、「百度銭包(支払決済サービス)」は60億元相当の福袋を配布すると発表。ユーザーが街に飾ってある「福」の文字をスマートフォンで撮るとモバイル百度アプリが画像を自動認識し、「福」文字のスタイルに合った福袋を届けるのだ。

 それぞれの取り組みを通じて、各社はモバイル決済サービス市場での優位な立場を獲得することが、O2O市場、金融市場における競争力強化のカギになるとみており、戦いはさらに激化するとみられる。(文/鄭麗花)