日立ソリューションズ(佐久間嘉一郎社長)は、ミャンマーの主要港であるヤンゴン港の「港湾EDI(電子データ交換)」システムの構築に取り組んでいる。本稼働は2017年2月を予定しており、同社にとって海外で初の港湾EDIシステムの構築となる。

 この案件は、国際協力機構(JICA)のミャンマーに対する総額約17億円の無償資金協力を背景に、日立ソリューションズが「港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画」の一環である港湾EDIシステムを受注したものだ。日立ソリューションズは国内での港湾関連のEDIに実績が多く、この点が評価された。

ミャンマーのヤンゴン港
撮影:日立ソリューションズの實原志伸主任

 ヤンゴン港の貨物取扱量は、ミャンマー海運貨物の約8割を占める主要港だが、港湾に関する手続き業務は紙ベースでの申請が中心で、EDIによる電子化が大きな課題となっていた。貨物コンテナの港湾内の平均的な滞留時間は1週間を超えており、先進諸国やアジアの海運拠点となっている上海やシンガポールといった先進的な港湾業務に比べて大きく見劣りしている。港湾業務の効率化はミャンマーの経済発展にとって欠かせないものになるとともに、ASEAN市場への進出を加速させている同社にとっても「大きな実績となる」(日立ソリューションズの實原志伸・流通営業第1部主任)。

 日立ソリューションズは、日本国内での港湾EDIに関係するシステム構築では多くの実績を有し、国内港湾EDIの要で輸出入・港湾関連情報処理センターが運営する「輸出入 ・港湾関連情報処理システム(NACCS=ナックス)へのつなぎ込みは、数多く手がけてきた」(大滝竜馬・ビジネス・ソリューション部主任技師)。他にも地図上で船舶の動向を可視化する船舶位置情報サービスをクラウド方式で提供したり、船舶に搭載されたAIS(船舶自動識別装置)の位置情報を活用することで入港間際の船舶を検知し、入港届けといった港湾手続きに必要な情報を自動生成するシステムを構築している。


 今回のミャンマーの案件では、地場のSIビジネスパートナーであるACEデータシステムズと開発面で協業しつつ、日本国内で港湾EDI関連システムを手がけてきたノウハウをもとに、日立ソリューションズが独自に開発した物流システム向け開発フレームワークを活用して、ヤンゴン港の業務に役立つシステムづくりに取り組む。港湾EDIによる業務の効率化ニーズは、中国やシンガポールをはじめとする“海運大国”ではすでに需要が一巡しており、ヤンゴン港などこれから経済発展が見込める国の港湾に、今後の市場の伸びが見込まれる。

 日立ソリューションズでは、今回の実績をもとにこうした潜在ニーズを取り込んでいくことで、海外での港湾EDIビジネス拡大に強い意欲を示している。(安藤章司)

實原志伸主任(左)と大滝竜馬主任技師