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アピリオ 米クラウドインテグレータがクラウドソーシングに本腰 日本法人の新社長に渡邉崇氏が就任

2016/03/17 19:08

週刊BCN 2016年03月14日vol.1620掲載

 米アピリオ(クリス・バービンCEO)は、クラウドサービスの導入コンサルティングやクラウドを活用したシステム構築などを行うCIer(クラウドインテグレータ)である。2006年の創業以来、着実に成長を続けていて、前年度の売り上げは約230億円に達した。

渡邉 崇・代表取締役社長(左)とクリス・バービンCEO
 同社が主に取り扱っているクラウドサービスは、セールスフォース・ドットコムやワークデイ、コンカーなどのSaaSやPaaS。「それぞれの領域のリーダーのサービスを取り扱うことを意識している」と、バービンCEOは取り扱うクラウドサービスの選択基準を語る。創業から約10年で、同社のユーザー企業はすでに1000社を超えたという。

 また、アピリオでは、導入後のサポートを担当する「クラウドマネジメントセンター」を用意しており、ユーザー企業のリソース管理や環境管理、導入効果測定などのサービスを提供している。

 日本では、米国の企業はCIOやシステム部がしっかりしていて、自社でシステムを導入できるので、SIerやCIerは不要という説を信じている人が多い。実際には、米国でもSIerやCIerが存在し、多くのユーザー企業のニーズに応えている。「SaaSは簡単に導入できると思われがちだが、コンサルティングや導入サービスのニーズは多い」(バービンCEO)という。

 アピリオで現在注力している事業の一つが、クラウドソーシングのプラットフォーム「topcoder」である。プログラム開発やデータ分析、デザインなどを登録者に委託するというもので、クラウドサービスとは、名前が似ているものの、内容はまったく違う。

 「創業時はクラウドを取り扱うことに対して“なぜ”とよく聞かれたが、今はクラウドソーシングに対して“なぜ”と言われる。しかし、クラウドソーシングは、システム開発の破壊的アプローチだという自信がある」と、バービンCEOは語る。topcoderの登録者は100万人を超えていて、日本の登録者は約7万人になるとのこと。なかには1億円を超える収入を得ている登録者もいるという。topcoderをクラウドソーシングプラットフォームのデファクトスタンダードとするべく、今後も積極的に投資をしていくとしている。

 また、アピリオは日本法人の体制強化を目指し、新たな代表取締役社長に1月15日付で渡邉氏を迎えた。渡邉社長は個人的な意気込みとして、「年内に日本法人の社員数を1.5倍にし、売り上げを対前年比で20%増にする。さらに来年はそこから売上成長率を70%増にし、日本法人設立以来のレコードイヤーにする」と日本法人の目標を置いている。

 クラウドインテグレーションは日本でも多くの企業が参入しているが、クラウドソーシングによるシステム開発の例は聞かない。今後の展開に注目したい。(畔上文昭)
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