【上海発】ウイングアーク1st中国法人の文雅科信息技術(上海)(ウイングアーク上海、大垣考広総経理)は、帳票作成・運用ツール「SVF」のローカルビジネスを軌道に乗せる。このほど、中国政府や金融機関向けの案件を強みとする現地企業をOEMパートナーとして開拓した。大垣総経理は、「2016年度(16年12月期)は10万台以上のライセンス販売を目指している」と野心的な目標を掲げている。(真鍋 武)

 中国の政府機関向けには、地場のプリンタメーカーと手を結んだ。同社のプリンタとSVFを組み合わせたソリューションとして提供する。近年、中国の政府機関は国産IT製品の導入を推進しているため、日系ITベンダーが単独でシステム案件を受注することは難しくなっているが、OEM供給型であれば、この問題を解決することが可能となる。

 パートナーとの契約上、詳細情報は開示していないが、提供するのはSVFを組み込んだモバイルデバイスとドットインパクトプリンタを連携させたソリューションとみられる。今回の契約にあたってウイングアーク上海は、SVFをAndroid上で利用できる追加仕様を、大連拠点と連携して開発したという。

大垣考広
総経理
 大垣総経理によると、パートナーのプリンタメーカーは、SVFを組み込んだソリューションを大規模に拡販する見込みだ。中国では、流通税改革に伴い、今年5月1日から営業税が廃止されて、すべての取引に「増値税」という付加価値税が課されることになった。これによって専用紙として使用される「発票」や帳票作成に多用されるドットインパクトプリンタの需要は拡大する。調査会社IDC中国では、16年の中国ドットインパクトプリンタ出荷台数を前年比16.4%増の381万1000台と予測している。

 一方、金融機関向けには、地場SIerの中科軟科技(Sinosoft)とパートナー契約を結んだ。同社は、中国の保険会社向けITサービスのリーディングカンパニーで、年次で大手保険会社のCIOを総結集させたプライベートイベントなども開催している。これまでは帆軟軟件の「FineReport」など、SVFの競合製品も扱っていたが、機能面やサポート品質を高く評価し、このほどウイングアーク上海との協業に至った。16年第1四半期には、既存ユーザーのリプレースでSVFの第1号案件を受注しており、大垣総経理は、「この実績を他社にも横展開していきたい」と話す。

 また、ウイングアーク上海では、SVFのローカルビジネスの本格化に伴い、売掛金回収リスクを低減する策も講じている。例えば、プリンタメーカーとの協業では、SVFのアクティベーション権限をウイングアーク上海が保持し、入金が確認できるまで利用を制限できる体制を敷いた。同社はSVFに先駆けて、中国でBIツール「Dr.Sum EA」をローカル企業に販売してきた実績があり、ここで培ったノウハウを生かした形だ。

 実は、ウイングアーク上海が上記2社と接触を始めたのは2013年頃のこと。長期間にわたる交渉が実を結び、ようやくビジネスが本格的に動き出した。中国市場でのこれまでのSVF販売実績は、サーバーライセンス数で約20。協業が順調に進めば、販売ライセンス数は飛躍的に伸びることになる。