パーツ生産性を10倍、コストを半分に

 日本HP(岡隆史社長)の主軸を担うプリンティング事業。今年1月に開催した事業説明会で、岡社長は、2017年のプリンティング事業戦略について、「商業向けプリンタに注力し、将来性のある事業として3D関連事業を進める」と説明した。17年の折り返しである6月に、待望の業務用3Dプリンタ「HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューション」を発表した。

 日本HPは、3D関連事業を「これから市場ができあがっていく領域」として捉えている。7月上旬に3Dスキャナとプロジェクターを備えた一体型ワークステーション「Sprout Pro」を、8月に今回発表した3Dプリンタを発売する計画だ。

 HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューションは、サーマルインクジェット技術を応用した3Dプリント技術「HP Jet Fusion テクノロジー」を搭載。最大30×40cmのエリアを面として一度に造形することで、造形スピードの高速化を実現。さらに、パウダー除去などの後加工や材料の再充填など、3Dプリンティングプロセスのさまざまな工程を統合することで、生産時間、コスト、エネルギー消費や無駄を削減した。米HP 3Dプリンティングビジネス担当 プレジデントのステファン・ナイグロ氏は、「他社製のものと比べて1日あたりのパーツ生産性が10倍もあり、パーツあたりのコストを最大50%削減できる」という。

 このほかの特徴として、ボクセル(立体)単位ごとに色や機械的特性の異なる造形もでき、これにより導電性、柔軟性、透過性、埋め込みデータなどを備えた3D造形物を生産できるという。材料の積層と二種類のエージェント(溶解促進剤)の噴射、ヒーターによる加熱を繰り返して固める造形プロセスを採用しており、その結果、高い寸法精度と弾性、縦/横/高さの3方向すべてに強度を備えた高品質のパーツを生産できるとした。
 
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3Dプリンタで造形したパーツの試作品

 価格は、試作の製造に適したプロトタイプの試作向きとなる「HP Jet Fusion 3D 3200 プリンティングソリューション」が3800万円から。また、11月には上位モデルの小ロットの最終製品の製造にも対応する「HP Jet Fusion 3D 4200 プリンティングソリューション」を発売する。価格は未定。

 販売パートナーとして武藤工業(早川信正社長)とリコージャパン(松石秀隆社長)の2社と協業契約を結んだ。両社は日本HPの3Dプリンタを導入する際のコンサルティングや導入後のアフターサービスなどを手がける。また、製品の展示や検証などを行うデモルームを開設する。(山下彰子)