【上海発】シーエーシーの中国現地法人である希亜思(上海)信息技術(CAC上海、程斌総経理)は、中国で感情認識を活用したAI(人工知能)事業に参入した。6月28日~30日に開催された「2017上海国際智能産業展覧会(全智展)」で、提携先の米Affectivaの感情認識ソフトウェアを初公開した。(上海支局 真鍋 武)

 米Affectivaは、2009年に設立したマサチューセッツ工科大学メディアラボからのスピンオフ企業。400万人以上の表情データをもとに、約500億件の感情データポイントを収集しており、同社の感情認識ソフトウェアでは、瞬間的に生じる自然な人間の感情を0.2秒以下で読み取ることができる。
 
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小峰邦裕
副総経理

 シーエーシーは昨年、米Affectivaに約1億円を出資し、日本国内での販売代理店契約を結ぶなど、関係を強化してきた。中国でも商機が大きいと判断し、このほどCAC上海が、同国内での販売代理店契約を締結した。中国では、政府がAIを重要な新興産業に指定するなど、急速にAIへの関心が高まっている。AI事業に参入するITベンダーは急増しているが、小峰邦裕副総経理は、「現時点では、顔認証を展開している企業が多い。感情認識については、地場ベンダーではまだ研究・開発中の企業が多く、外資大手も参入していない」と説明する。

 今後、CAC上海では、教育、ロボット、自動車、金融などの領域で応用を進めていく方針。例えば、ロボットでは、養老施設などで導入が進む介護ロボットが、高齢者の表情から感情を読み取って、「今日はいいことがあったんですか」と主体的に話しかけるなどの応用が想定される。自動車では、運転手の表情から感情を読み取って、居眠り運転の防止につなげたりする。小峰副総経理は、「中国は、新しい技術に関する制約が少ないため、市場での応用を進めやすい」と話す。

 同社はこれまで、中国の日系企業を中心に顧客を開拓し、売上高の大部分は得意とする金融業と医薬業向けソリューション事業で賄ってきた。一方、日系企業向けビジネスだけでは成長余地が限られるとみて、ここ数年は非日系企業を開拓するための新規事業を模索。今回の感情認識AIは、その一環となる。小峰副総経理は、「感情認識AIは、新たな領域の顧客を開拓するうえで武器になる。これまで中国で蓄積してきた業務ノウハウと組み合わせたサービスとして、提供していきたい」と意欲を示す。CAC上海では、今後3年間で、感情認識AIを含む新規事業の売上比率を20%にする目標を掲げている。