患者目線のサービスが順調な滑り出し

 富士通は、ヘルスケアビジネスで、患者に焦点をあてたサービスを本格化させている。第一弾として病院に納入した富士通の電子カルテと、患者向けスマートフォンアプリを結ぶことで、病院の予約状況や待ち時間がリアルタイムに把握できるサービスをスタートした。続いて、これに医師が開示した診療情報を参照できる仕組みを今年度(2018年3月期)末までに実装する予定だ。将来的には病院から患者へ診療に関するメッセージを発信したり、家族で診療情報を共有する機能などの開発を検討している。

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辻元洋典マネージャー(左)と山本健人氏

 ヘルスケアビジネスは、これまで病院の電子カルテやレセコン(医事会計)を筆頭に院内の業務システムが中心だった。富士通では、患者の満足度向上やPHR(生涯における自分自身の医療や健康情報を収集し活用できる仕組み)を重視する病院や医師が増えていることを背景に、患者に焦点をあてたサービス「HOPE LifeMark-コンシェルジュ(ホープライフマークコンシェルジュ)」を開発。今年6月に大規模私立病院で本稼働したのに続き、「いま10数件の受注確度の高い商談が進行中」(LifeMark-コンシェルジュの開発を担当する辻元洋典・第二ソリューション開発部マネージャー)と、順調な滑り出しだ。
 
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スマートフォンアプリ「HOPE LifeMark-コンシェルジュ」の画面イメージ。
将来的には医療・介護領域における個人向けサービス基盤に育てていく

 すでにサービスを始めている診察券機能、予約確認、順番待ち通知などは、患者の利便性向上に直結し、病院の業務効率化にもつながる。アプリを入れたスマートフォンを総合受付に持っていくと、電子カルテの予約情報と連携して自動的に受け付けを行う。そして、内科や外科といった診療科での待ち状況をアプリにリアルタイムに通知。患者は診療科の前で待つ必要はなく、「待ち時間が長いようなら近所の喫茶店などで時間をつぶすこともできる」(第一ヘルスケアビジネス推進部の山本健人氏)と話す。

 一方で、診療情報の開示や患者へのメッセージ、家族との情報共有機能については、慎重な運用が求められるケースが想定される。診療情報は、まずは健康診断で開示されているような標準的な検査結果を共有するところからスタート。血圧やコレステロール値、血糖値など、日常生活で気をつけなければならない項目なら共有しやすい。また、病院からメッセージを発するケースでは、例えば妊婦の定期健診通知ならわかりやすいし、患者にも受け入れられやすいとみられている。

 ヘルスケアは、患者のセンシティブな個人情報に深く関わる機微領域であるため、富士通では病院や患者の意見を採り入れながら、最善の運用方法を模索していく。そのうえで、LifeMark-コンシェルジュを病院単体のサービスにとどめるのではなく、将来的には地域医療や自治体、介護事業者などと連携した利用者向けサービス基盤に育てていく構想を練っている。(安藤章司)