富士通は、東京都大田区蒲田の富士通ソリューションスクエア内に、同社のアジャイル開発の推進拠点となる「富士通アジャイルラボ(仮称)」を2018年下期に設立すると発表した。

 同ラボの特徴は、デジタルビジネス領域で協業関係にあるPivotalのビジネススタイルを導入したところにある。「当社の担当者と顧客の担当者をペアリングし、朝食ミーティングから始め、12週から16週の期間でアジャイル型の共同開発を推進する。互いのコミュニケーションを深めるのと、リラックス効果があるピンポン台も用意する」と、中村記章・デジタルフロントビジネスグループエグゼクティブアーキテクトは説明する。これはPivotalがアジャイル開発などの先進的な開発手法に取り組むなかで確立したビジネススタイルの一つであり、Pivotalジャパンのオフィスでも取り入れている。アジャイル開発に取り組むにあたって、まずはかたちから入るというわけだ。

 アジャイル開発は、アイデアをすばやく実装し、継続的に更新していくことから、開発規模が大きい基幹系システムなどには向いていないとされてきた。多くの場合は、ウェブ系の顧客向けサービスなどで用いられている開発手法である。実際、基幹系システムは、仕様書をきっちり用意することができるため、ウォーターフォール型で開発したほうが効率がいい。

 こうした事情があるなかで、富士通が注力するのは、同社が強みとする領域の基幹系システムなどを対象にした「エンタープライズアジャイル開発」である。「ビジネス環境の変化に対応する必要があるとして、顧客からアジャイル開発を望む声が出るようになってきている。また、これまでの開発は、顧客とベンダーのどちらかにリスクがあったが、アジャイル開発では請負型とは違う新しい関係を構築できる」と、中村エグゼクティブアーキテクトは説明する。

 富士通では、アジャイル開発を推進するにあたり、人材育成にも注力する。まずはPivotalジャパンの「Pivotal Labs」に派遣し、コア人材を育成。その後は富士通アジャイルラボでアジャイルスペシャリストの拡大に取り組む。加えて、「アジャイルスペシャリスト認定制度」を用意し、今年度中に200名の認定スペシャリストを輩出する予定である。

 エンタープライズ分野では、有効なケースがあるとされつつもなかなか受け入れられてこなかったアジャイル開発。かたちから入るところに、富士通の本気度を垣間見ることができる。(畔上文昭)
 
左からPivotalジャパンの正井拓己カントリーマネージャー、米Pivotal Softwareのエドワード・ハイアット・シニアバイスプレジデント、富士通の中村記章・デジタルフロントビジネスグループエグゼクティブアーキテクト