週刊BCNは8月24日、松山市内で「業界の“今”がわかる!有力商材が見つかる!SIer・リセラーのためのITトレンドセミナー」を開いた。オフィスソフト、セキュリティソリューションの注目ベンダーの最新商材、パートナープログラムを紹介するとともに、識者がIT市場のトレンドを解説。参加者は熱心に耳を傾けた。

 基調講演には、一般社団法人クラウド利用促進機構総合アドバイザー テクノロジー・リサーチャーの森 洋一氏が登壇し、「米自動運転車開発とIT産業の変貌~デジタルトランスフォーメーションの時代~」をテーマに、自動運転技術開発の現状とIT産業への影響を解説した。森氏は、「自動運転車は、AI、IoT、ビッグデータを活用したデジタルトランスフォーメーションの先端事例である」として、ITベンダーにとっても注目すべき領域であると指摘。自動運転車の開発ではITベンダーや自動車メーカー、ライドシェアリングサービスプロバイダーなどさまざまな産業分野の有力プレイヤーが合従連衡しながら市場づくりに取り組んでおり、競争も激しさを増しているとした。森氏は市場の状況を整理・解説しつつ、「自動運転の開発競争が進むにつれ、IT産業にも変化が起こっている」ともコメント。さらに、「自動運転車の進化は自動車のエッジコンピューターとしての側面を際立たせるようになり、GPUメーカーの競争激化にもつながっている。IoTソリューションの進化が自動車に新しい価値をもたらしており、多くのITベンダーにとってビジネスチャンスがある」と会場に呼びかけた。
 
一般社団法人クラウド利用促進機構総合アドバイザー
テクノロジー・リサーチャーの森 洋一氏

 各セッションでは、市場で注目を集める製品・サービスのベンダーが自社製品のメリットやパートナー戦略を説明した。

 セッション1では、キングソフト WPS事業部ビジネスパートナー Div.ディレクター代行の高橋満氏が登壇し、「コスト削減のカギは、オフィスソフト選定にあり! ~定番からの脱却で見える化する『課題』と『解決策』~」をテーマに講演した。同社は「Microsoft Office」の互換ソフト「KINGSOFT Office」を開発し販売してきたが、2016年にKINGSOFT Officeを「WPS Office」にリブランドした。高橋氏は、WPS Officeの特徴として、「操作性と見た目はほとんどMicrosoft Officeと同じ。マイクロソフトの特許を侵害しないようにつくっており、一度もマイクロソフトと訴訟になったことがない。マイクロソフトとはパートナーとして提携して製品展開している」と説明したほか、UI、保存形式などあらゆる面でMicrosoft officeと非常に高い互換性をもつことを強調した。また、マルチデバイス対応など働き方改革のニーズにも応えていることや、VBA対応ではマイクロソフトからAPIの提供を受けていることも強みとして紹介した。国内では、一般企業や自治体のほか文教市場でも多くの実績があり、「とくに中国・四国では文教での導入率が全国平均より高く、建設産業と合わせて二つの産業分野で実績の約半数を占める」と解説。WPS Officeを担ぐことで期待できる具体的なビジネスチャンスを来場者に説明した。
 
キングソフト WPS事業部ビジネスパートナー
Div.ディレクター代行の高橋満氏

 セッション2では、キヤノンITソリューションズ ITインフラセキュリティ事業部ITインフラセキュリティ技術本部セキュリティリサーチャーの酒井健太氏が「最新のセキュリティ脅威動向と、多層防御を実現するフレームワーク」と題して講演した。酒井氏はまず、同社のビジネスについて、「SIerとしての経験を生かし、国内外のベンダーと連携するだけでなく、自社での製品開発も行い、日本の環境に合った最適なソリューションを提供している」と説明。ESET製品をはじめとする有力セキュリティ製品の取り扱いが豊富であることや、自社開発でも情報漏えい対策ソリューション「GUARDIANWALL」などで高いシェアを獲得しており、セキュリティベンダーとして豊富な実績があることをアピールした。また、サイバーセキュリティの最新動向を解説し、「サイバー攻撃は複数の段階を経て実施され、高度化が進む一方。未然に防ぐ対策だけでなく、侵入された場合も想定し、入り口対策と内部対策、出口対策の複数のセキュリティ対策を組み合わせた多層防御の考え方が重要だ」と訴えた。一方で、現実的にはユーザーがセキュリティ対策にかけられるコストは有限だ。そうした事情を踏まえ、費用対効果の高いセキュリティへの投資を検討するためのフレームワークも紹介。同社がこのフレームワークを幅広くカバーするセキュリティ製品をラインアップしていることを強調した。
 
キヤノンITソリューションズ ITインフラセキュリティ事業部
ITインフラセキュリティ技術本部セキュリティリサーチャーの酒井健太氏

 セッション3では、「特許取得済みのAIを用いたサイバーセキュリティソリューションを提供するウェブルートと共に安全を守りましょう!」と題して、ウェブルート エンタープライズ営業本部担当課長の吉田道生氏が講演した。吉田氏は、「サイバー攻撃はほとんど災害のように、規模の大小を問わず多くのユーザーに押し寄せている。それに対して、AIを活用した次世代型のセキュリティソリューションを提供しているのがウェブルートだ」と同社の特色を説明した。具体的には、“世界最大級の脅威インテリジェンスサービス”と銘打った「BrightCloud」をベースに、エンドポイント、モバイル向けのフルクラウド型セキュリティソリューションを提供。このBrightCloudが「同社の大きな強みになっている」という。吉田氏は、「いろいろなところから上がってくるセキュリティに関する脅威情報をクラウド上の巨大なデータベースにためており、そのビッグデータをAIで分析し、エンドポイントのセキュリティ対策に即座に生かすことができるようにしている。多層防御も単一ソリューションで実現できる」と、同社製品がユーザーにもたらすメリットと、ビジネスチャンスの大きさをアピールした。
 
ウェブルート エンタープライズ営業本部担当課長の吉田道生氏

 主催者講演では、週刊BCN編集長の本多和幸が、エンタープライズITビジネスの技術トレンドやビジネストレンドなどについて取材情報をもとに解説した。