週刊BCNは6月8日、大阪市内で「業界の“今”がわかる!有力商材が見つかる!SIer・リセラーのためのITトレンドセミナー」を開いた。各分野の有力ベンダーの最新商材、パートナープログラムの紹介や識者による市場トレンドの解説に、参加者は熱心に耳を傾けた。

 基調講演には、一般社団法人クラウド利用促進機構総合アドバイザー テクノロジー・リサーチャーの森 洋一氏が登壇し、「米自動運転車開発とIT産業の変貌~デジタルトランスフォーメーションの時代~」をテーマに、自動運転技術開発の現状とIT産業への影響を解説した。森氏は、自動運転車開発では米テスラや独アウディ、米グーグル、米GM、米フォード、米UBERなど、ITベンダーや自動車メーカー、ライドシェアリングサービスベンダーなど異なる産業分野のさまざまなプレイヤーが連携しながらエコシステムを構築し、熾烈な競争を繰り広げている状況を説明。これに呼応して、「IT産業の変貌が起こっている」とも指摘した。さらに、「自動運転車は、AI、IoT、ビッグデータを活用したデジタルトランスフォーメーションの先進事例。自動運転車はエッジコンピュータであり、GPUメーカーの競争を激化させているし、IoTソリューションの進化もけん引している。ITと機械を融合した産業の大変革ともいえる」ともコメント。ITベンダーはこのムーブメントを自動車側ではなくIT側の人間が自動車に新しい価値をもたらしていることに注目し、ビジネスチャンスを見出すべきだと呼びかけた。
 
一般社団法人クラウド利用促進機構総合アドバイザー テクノロジー・リサーチャーの森 洋一氏

 各セッションでは、市場で注目を集める製品・サービスのベンダーが自社製品のメリットやパートナー戦略を説明した。

 セッション1では、キングソフト WPS事業部ビジネスパートナー Div.ディレクター代行の高橋満氏が「コスト削減のカギは、オフィスソフト選定にあり! ~定番からの脱却で見える化する『課題』と『解決策』~」と題して講演した。「Microsoft office」の互換ソフト「KINGSOFT Office」を開発・販売してきた同社は、2016年にKINGSOFT Officeを「WPS Office」にリブランドした。高橋氏は、Microsoft officeとの高い互換性をもつ製品を低コストで提供できるとともに、「機能、操作性の高さも大きな価値」と強調。さらに、「多くのoffice互換製品はマイクロソフトと訴訟になったりしているが、当社は過去に一度もそうした経験がない。VBA対応ではマイクロソフトからAPIの提供を受けているし、マイクロソフトとの関係は良好」だと説明した。また、Windows 7とoffice 2010のサポート終了、そして同社が強みをもつ文教分野で教育指導要領の改正が行われる2020年に向けて、販売店にも大きなビジネスチャンスが見込まれるとアピール。全国のパートナービジネスの成功事例も紹介した。
 
キングソフト WPS事業部ビジネスパートナー Div.ディレクター代行の高橋満氏

 セッション2では、キヤノンITソリューションズ ITインフラセキュリティ事業部ITインフラセキュリティ技術本部セキュリティリサーチャーの酒井健太氏が登壇し、「最新のセキュリティ脅威動向と、多層防御を実現するフレームワーク」をテーマに講演した。酒井氏はサイバーセキュリティを取り巻く現状について、「攻撃者の目的が、自己顕示欲や技術力の誇示から金銭を得ることに変わってきており、機密情報、サーバーやPCの捜査権限など、現金化できるものを攻撃のターゲットにする傾向が強まっている」と指摘。そのうえで、サイバー攻撃は高度化が進む一方であり、複数の段階を経て行われることから、「未然に防ぐ対策だけでなく侵入された場合も想定し、入口対策と内部対策、出口対策の複数のセキュリティ対策を組み合わせた多層防御の考え方が重要」だと訴えた。ただし、ユーザーがセキュリティ対策にかけられるコストは有限であり、「対策すべきリスクの特定、適切な防御、不正な通信の検知、検知されたサイバーセキュリティイベントへの対応、阻害された機能・サービスの復旧という五つのフレームワークに沿って、費用対効果の高い投資が検討されることを提案したい」とした。さらに同社が、セキュリティ対策製品のディストリビュータ、そしてSIerとしての経験を生かして、これらのフレームワークを幅広くカバーするセキュリティ製品をラインアップしていることもアピールした。
 
キヤノンITソリューションズ ITインフラセキュリティ事業部ITインフラセキュリティ技術本部
セキュリティリサーチャーの酒井健太氏

 セッション3では、アスプローバ 大阪支店課長の花井友幸氏が「製造業向けソリューションプロバイダ必見! スマートファクトリ化で需要増 生産スケジューラ『Asprova APS』」をテーマに講演した。花井氏はAsprovaについて「製品自体は昔からあるが、スマートファクトリ化の流れのなかで需要が非常に大きくなっている。既存のパートナーもリソースが足りなくなっている状況があり、新しいビジネスパートナーを募集している」と、新規パートナーにとってビジネスチャンスが大きい商材であると強調。製造業向けのビジネスを展開しているSIerなどにとっては、「扱う製品のラインアップを広げるとともに、既存のAsprovaパートナーとの新しい協業による顧客基盤の拡大なども期待できる」と説明した。Asprovaは生産スケジューラ製品として国内シェア1位を誇り、「出荷本数は1923本、海外660本という実績がある。国内シェアは6割近いという強みがある。パッケージライセンス単体での市場規模はそれほどでもないが、SIパートナーの皆さんにとっては、自社の生産管理システムだったり、工場の実行系のIoTソリューションと抱き合わせて売っていただくことで非常にポテンシャルが大きくなる製品」だと強調した。
 
アスプローバ 大阪支店課長の花井友幸氏

 セッション4では、「旅費/経費精算・ワークフローソリューション『WAVE225』が経営課題解決に大きく貢献」をテーマにNTTデータ ウェーブ 営業部グループ長の竹内剛氏がプレゼンした。竹内氏は、「業務改革をするうえで、最重要課題として管理間接プロセスを見直すべきと考えているお客様は多い。とくに経費精算や稟議申請は、オペレーションの非効率性が課題だと考えられている」と指摘。WAVE225は、旅費・経費精算と稟議の二つの機能をラインアップしているが、そうした課題の解決に役立つ製品であることを説明した。旅費・経費精算はユーザーの業務・運用ルールを受難にカスタマイズでき、稟議についてもノンプログラミングで稟議書フォームを自由に設定できるほか、システム基盤として「intra-mart」を採用しており、「拡張性が高く他の業務システムとも容易に連携できる」と解説した。WAVE225にRPAやBIを組み合わせた間接業務効率化の“進化系”ともいえるような自社の活用事例も紹介し、パートナーにとってビジネスチャンスが大きい製品であることをアピールした。また、中堅中小企業をターゲットとしたSaaS型のWAVE225を今年中にリリースし、パートナーによる間接販売を前提に拡販していく予定であることも明らかにした。
 
NTTデータ ウェーブ 営業部グループ長の竹内剛氏

 セッション5に登壇したのは、ブレインズスクエア 日本支社長の藤田孝広氏。「VDI/シンクライアント環境でなくても実現できる情報漏洩防止対策」について解説した。ブレインズスクエアは、2000年3月に韓国で設立された総合セキュリティソリューションベンダーだ。製品開発のコンセプトは「機密データの漏えい対策」に特化しているという。藤田氏は、「外部からの不正アクセスに対しては多くの企業が対策を行ってきたが、内部からの情報漏えいの脅威については近年ようやく関心が高まってきたレベル」だと分析。さらに、内部脅威に対する一般的な対策方法としては、「DLPやE-DRM、VDIなどが導入されていることが多いが、コストや効果、使い勝手の面で課題が残るケースも多い」と指摘した。藤田氏は、同社の「SECUDRIVE File Centralization」がこうした課題を解決する製品だと強調。同製品は、PC端末にデータを残さず、デスクトップにあるファイルを社内のストレージやサーバーに強制移行するソリューション。ファイルの管理はデータ移行先のサーバーなどに特別なフォルダをつくって行うが、ユーザー権限を細かく管理することができ、ファイルのコピー、印刷、キャプチャなどにより機密データが漏えいするリスクを低減するという。今後の国内でのビジネス展開については、「低コストで効果的な内部漏えい対策が打てる商材として、パートナーの皆さんとともに関西でのビジネスを拡大していきたい」とした。
 
ブレインズスクエア 日本支社長の藤田孝広氏

 セッション6では、arcserve Japan 営業統括部マネージャーの小久保洋平氏が「仮想化、HCI環境でも84%バックアップデータを削減できるバックアップアプライアンスとは?!」と題して講演。同社のバックアップソフトをハードウェアにプリインストールしたアプライアンス製品「Arcserve UDP 8000」シリーズの特徴を解説した。小久保氏は、「複雑なデータ保護環境でもワンストップのトータルソリューションをシンプルに実現できるほか、アプライアンス製品なのでインストール不要でセットアップも簡単。ソフトウェアのためにハードウェアのサイジングに悩まされることもない。Arcserve UDP 8000は最適にサイジング済みで、システム設計の工数とリスクも最小限に抑える。さらに、バックアップ対象の数や容量にかかわらず、ソフトのライセンスは使い放題。後からサーバー台数が増えても安心でライセンス管理の煩わしさがない」とメリットを列挙した。また、ハードウェアは日本製のアプライアンス製品で、これも国内で支持を得ている要因になっているという。「サポート、メンテナンスも充実しており、非常に売りやすい製品。どんどん増大していくバックアップデータへの対応もしやすい」として、販売パートナーにとってのメリットも大きいことを強調した。なお、UDP 8000シリーズは、大手ディストリビュータのダイワボウ情報システムが販売、問い合わせ窓口を手がけている。
 
arcserve Japan 営業統括部マネージャーの小久保洋平氏

 主催者講演では、週刊BCN編集長の本多和幸が、FinTechのトレンドの現状や法人向けITビジネスへの影響などを取材情報をもとに解説した。