週刊BCNが7月26日に開催したITメーカーとIT販社をつなぐイベント「BCN Conference 2018 夏」は、聴講者が延べ500人近くとなり、会場は終日、活況を呈していた。

 午前は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏が基調講演、レコモットの東郷剛氏と、楽天コミュニケーションズの神谷昌呂氏が特別講演を行った(既報)。午後は、三つのトラックに分かれて有識者や業界を代表するITベンダーが、それぞれの立場・テーマでIT業界の現状と未来、製品やソリューションについて講演。各社が自社の強みや市場動向などを説明しながら、「ポスト2020」のリセッションに備える術を指南した。
 
「BCN Conference 2018 夏」の協賛ベンダー

 「A会場」のトラックでは、まずVAI0でPC事業部ソフト&ソリューション開発部ソリューション課課長の鈴木陽輔氏が「VAIOのセキュアテレワークソリューション」をテーマに講演し、LTE内蔵PCによるセキュアテレワークソリューションを紹介。

 鈴木氏は、「2018年10月にサービス開始予定の『VAIO Secure SIM』は、利用者が特別な操作をしなくても、安全なリモートワークを実現できる。利用者に何も求めないことこそが、VAIOが考えるセキュリティのあり方だ」とアピールした。
 
VAI0の鈴木陽輔氏

 ブレインズスクエアは、日本支社長の藤田孝広氏が登壇して「VDIでも暗号化でもない!低コストでセキュアなモバイルワーク環境の実現」をテーマに講演。PCなどの端末にデータを残したまま業務を行うのは、セキュリティの観点から課題が多いなか、ブレインズスクエアでは、ファイルサーバーでデータを集中管理させることでセキュリティを担保するという。

 セキュリティソリューションの「SECUDRIVE File Centralization」について藤田氏は、「ユーザー同士でファイル共有がしやすくなったり、一括バックアップも容易になるなど、生産性や運用管理面でもメリットが多い」と説明した。
 
ブレインズスクエアの藤田孝広氏

 ドーモは、代表取締役ジャパンカントリーマネージャーの川崎友和氏とプリセールスソリューションズディレクター奥野和弘氏が「Domoで実現するデジタルトランスフォーメーション・プラットフォーム」と題して、デジタルトランスフォーメーションを推進するなかでの同社製品の強みについて紹介した。

 川崎氏は、「ドーモ製品によって、ITベンダーや企業のIT部門はビジネス部門との新しい関係を構築できる」とアピール。奥野氏は、「ドーモ製品はアジャイル方式でビジネスの目的達成に向けて継続的にアプローチしていく。ベンダーはお客様のビジネスパートナーとして長期のエンゲージメントを構築できる」と断言した。
 
ドーモの川崎友和氏
ドーモの奥野和弘氏

 シネックスインフォテックからは、プロダクトマネジメント部門テクノロジーソリューション本部ビジネス開発部部長の浜野崇氏が「技術トレンドから見たポスト2020のIT領域~SYNNEXが考えるビジネス戦略~」をテーマに、急成長中のIT領域をどのようなかたちでビジネスに直結することができるかをディストリビューターの視点から提案。

 浜野氏は「これからのITビジネスを考えるときに、IoT、5G、AIはそれぞれが相乗効果を発揮して新しいビジネスチャンスにつながっていく重要な要素。IoTで全てがインターネットにつながり、大量のデータを5Gでスピーディに送信し、AIがすぐに解析して対処する。その関係性を理解することがITビジネスには必須となる」と訴えた。
 
シネックスインフォテックの浜野崇氏

 A会場の最後は、日本ヒューレット・パッカードでハイブリッドIT事業統括Nimble技術部部長の江川学氏。「AI活用で運用負荷が激減! クラウド対応も見据えたフラッシュベースのお手軽ストレージ」をテーマに、自社のストレージ機器「HPE Nimble Storage」の強みをアピール。

 江川氏は、「Nimble Storageで提供している予測分析機能の『InfoSight』は、ストレージ以外のインフラも可視化できる。そのため、運用管理の負荷を軽減できる」と、Nimble Storageがビジネスの課題である運用コストの大幅削減に寄与するという。
 
日本ヒューレット・パッカードの江川学氏

 「B会場」では、NTTPCコミュニケーションズでサービスクリエーション本部本部長の三澤響氏が「なぜ、SD-WANは『まだ』普及しないのか? その要因と今後の見込みを徹底解説」をテーマに講演。SD-WANの立ち上げから約1年が経ったなか、サービス開発に至るまでの苦労話やエピソードを交えて紹介した。

 三澤氏は、「SD-WANは、ネットワークを必要に応じて柔軟に構成を変更できる。ビジネスが変わったり、新しいクラウドサービスを使ったりするとき、手間をかけずにネットワーク構成をすぐに変更できるようになる」と訴えた。
 
NTTPCコミュニケーションズの三澤響氏

 経済産業省の商務情報政策局情報経済課課長補佐(総括)の河野孝史氏は、「Connected Industriesの実現に向けたデータ利活用政策について」と題して、Connected Industriesの領域で経済産業省の具体的な政策を紹介するとともに、データ政策の国際的な情勢を踏まえた今後の展望について説明。

 河野氏は、「Connected Industriesで、うまく大企業のデータシェア、ベンチャー連携、人材育成を進めながら、(世界で勝てるスタートアップ企業を生み出すプログラムとして)『J-Startup』というブランドを立ち上げたのが、これまでの大きな成果といえる。今後は、新しいエコシステムをつくって、ユニコーンを育てていく」と訴えた。
 
経済産業省の河野孝史氏

 キングソフトは、WPS事業部執行役員の齋藤理氏が「Officeスイートのあり方が変わる!? ~働き方改革推進による今後の展開~」をテーマに講演。多くのプラットフォームと環境で使用できるオフィスソフト「WPS Office」の紹介・提案を中心に、最新の導入事例や今後のリリース予定などを交えて説明した。

 齋藤氏は、「今まで法人向けに対しては、オフィスにいる方を対象にコスト削減をしながら資料のつくり込みができるのがWPS Office、という提案が正攻法だった。ただ、今後は用途を広げていくことによって、当社やパートナーにとってプラスアルファのビジネスを展開できる」と法人向けビジネスへの期待を語った。
 
キングソフトの齋藤理氏

 ソフトバンク コマース&サービスのICT事業本部MD本部ハードウェア統括部統括部長の本美洋平氏は、「2020年 商用ドローン活用に向けて~ドローンの自動飛行・クラウド・AIの現在と未来~」と題して、ディストリビューターとして取り組むドローンビジネスの現状や役割、今後の展望を解説。

 本美氏は、「法改正や通信・AIの進化で、今後はドローンの用途が大きく伸びていくと確信している。ドローンが一般的になるまでには、まだまだ時間がかかるといえる。だが、皆さんと一緒に盛り上げていきたい」との考えを示した。
 
ソフトバンク コマース&サービスの本美洋平氏

 B会場の最後は、ジュニパーネットワークスでパートナービジネス開発本部シニアアカウントマネージャの池田篤氏が「Juniper セキュリティソリューション紹介」をテーマに講演した。

 池田氏は、セキュアルーターやSDSN、高度サイバー攻撃対策について説明しながら「セキュリティ分野は基本的に人材が不足しているうえ、運用が複雑化している。それらの課題を自動化により解決していく」と話した。
 
ジュニパーネットワークスの池田篤氏

 「C会場」では、まずシスコシステムズのデータセンター/バーチャライゼーション事業担当執行役員である石田浩之氏が「ハイパーコンバージドインフラを中心としたシスコのマルチクラウド戦略」と題して、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)の「Cisco HyperFlex」について説明。

 石田氏は、「Cisco HyperFlexは、ネットワークまでも網羅していることが他社製品との差異化点。しかも、『Any App(どんなアプリケーションでも)』『Any Cloud(どんなクラウドでも)』『Any Scale(どんな規模でも)』にも対応している。さらに、業界トップクラスのIOパーフォマンスをもつ」とアピールしたうえで、「このような強みによって、マルチクラウド化を推進していく」方針を示した。
 
シスコシステムズの石田浩之氏

 続いて、ニュータニックス・ジャパンのシニア・システムズ・エンジニアである島崎聡史氏とネットワールドのSI技術本部ソリューションアーキテクト課課長である工藤真臣氏が登壇。「ポスト2020を乗り切るための、これからのHCIに求められる3つのポイント」をテーマに、ネットワールドで仮想化ビジネスに長年携わるエキスパートの工藤氏がニュータニックスの島崎氏から本音を聞き出すスタイルで講演した。

 インフラをシンプル化するために、HCIにサービスを入れ込んでいるニュータニックスに対して、工藤氏が「将来目指していく方向性は?」と質問したところ、島崎氏は「オンプレにとどめるのではなく、自由にマルチクラウドを活用してもらうため、ディザスタリカバリ関連サービスやSaaS型ガバナンス管理サービス『Nutanix Beam』を用意している。お客様が生産性を高めることに時間を費やせるようなソリューションを今後も提供していく」と答えた。
 
ネットワールドの工藤真臣氏
ニュータニックス・ジャパンの島崎聡史氏

 arcserve Japanは、ソリューション統括部プリンシパルコンサルタントの鈴木智子氏が「システム環境、移行の5つの壁を打ちやぶれ!」と題してArcserveならではの多彩なソリューションを紹介。

 鈴木氏は、「Windows Server 2008/2008 R2だけでなく、Windows 7のサポートも20年1月に終了する。サーバーを移行する際、移行先は物理サーバー、仮想サーバー、クラウドと選択肢が増えた。こうした状況のなか、『Arcserve Replication』はお客様に影響なく移行ができる。さらに、クラウド移行や移行後のバックアップ運用もArcserve製品で解決できる」と訴えた。
 
arcserve Japanの鈴木智子氏

 C会場の最後は、SBクラウドの技術統括部技術部部長である奥山朋氏が「2020リセッションを乗り越えるアリババクラウドの事業戦略」と題して、ソフトバンク+アリババクラウドの強みをどのようにビジネスとして展開するかについて説明。「New Retail」(小売業)や、「New Manufacturing」(製造業)のIT変革について取り組みを紹介した。

 奥山氏は、「(IT業界において)今後、注目されるのは、やはり『ビッグデータ』『IoT』『AI』などの第4次産業革命を支える技術だ」と述べたうえで、「中国では、パートナーが集まってビジネスが実現できている。日本でも、パートナーとの協業が重要な要素だ。SBクラウド、アリババクラウドとして、20年のリセッションを乗り越えるため、当社のクラウドと皆様のさまざまなアイデアを組み合わせ、日本のITの革命を進めていきたい」と展望を語った。
 
SBクラウドの奥山朋氏

 なお、イベントでは展示ブースも設置。多くの聴講者がセッションの合間にブースを訪れていた。
 
展示ブースも盛況