週刊BCNは2月1日、名古屋市のミッドランドホールで、「SIer・リセラー必見! 有力商材で広がるITビジネスセミナー」を開催した。東海地域で法人向けITビジネスを手掛けるSIerやリセラーと、商材の全国展開を目指すベンダーのマッチングを目的としたイベントで、注目商品の紹介に加えて、業界識者による市場トレンドの解説が行われた。

名古屋駅前のミッドランドホールで開催された週刊BCNセミナー

 最初のセッションとなる基調講演では、IT記者会の佃均代表理事が「だもんでデジタルファーストを検証してみよみゃあ」と題し、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に関する政府の動きや、中小企業のDX事例などを紹介。DXというと情報システムの大がかりな刷新が必要と考えられがちだが、建設や農業といった伝統的な業種では、例えばスマートフォンを導入しただけで受発注が大幅に効率化されるようなケースもあり、DXに取り組むことは決して難しくないと説明。一方、IT産業全体をみると、従業員1人当たりの売上高や平均給与が2000年代前半に比べ下落しており、特にソフトウェアの受託開発ビジネスは生産性の改善や事業形態の見直しが急務になっていると指摘した。
 
IT記者会の佃均代表理事

 最新のIT商材を紹介するセッションでは、KDDI、BlackBerry Japan、NTTPCコミュニケーションズ、Synology Japanの4社が講演を行った。

 KDDIのクラウドサービス企画部の來嶋宏幸課長補佐は、同社のクラウド基盤上で物理サーバーを提供する「KCPSベアメタルサーバー」を紹介。このサービスは、設計の自由度が高い専有型物理サーバーを最低利用期間なしのオンデマンドで利用できるもので、オンプレミスとクラウドの“いいとこ取り”を実現した。多くのパブリッククラウドではネットワークの利用にデータ転送料が発生するが、KCPSベアメタルサーバーはKDDIのネットワークを無料で利用できるため、システム全体のコストを試算しやすいのも特徴。同社ではこのサービスをパートナー向けに再販/OEM提供している。オンプレミスからクラウドへの移行が難しいシステムも、ベアメタルサーバーであれば対応しやすいため、SIerのビジネスを売り切りから月額課金モデルへ転換するための基盤として活用してほしいとアピールした。
 
KDDIの來嶋宏幸課長補佐

 BlackBerry Japanの営業部でエンタープライズアカウントマネージャーを務める多田昌広氏は、モバイル端末のBYODを支援する同社の製品群を紹介。従業員の私物端末を業務に活用するBYODでは、端末調達コストの削減や、使い慣れた端末を利用することによる生産性向上が期待できるが、セキュリティー対策や統制のため、MDM(モバイル端末管理)ツールが求められることが多い。これに対してBlackBerryではMDMでなく、私物端末の中に業務専用の領域を作成し、業務アプリとそのデータを領域内のみに封じ込めるソリューションを提供する。MDMでは、自分の端末やデータを会社に管理されることに関して従業員から抵抗感が生まれることも多いが、同社のアプローチは端末ではなく業務アプリケーションだけを管理するものなので、セキュリティーを保ちながら高いユーザビリティやコスト効果を得られるのが特徴だという。
 
BlackBerry Japanの多田昌広アカウントマネージャー

 NTTPCコミュニケーションズのサービスクリエーション本部の左合貴主査は、IT業界だけでなくさまざまな産業で注目されているサブスクリプション(月額徴収)型のビジネスを支援するサービス「ビジネスプロセス業務支援(BPaaS)」を紹介。NTTグループの通信事業で培ったノウハウを生かし、契約管理、商品の発送、課金・請求、問い合わせ対応など、サブスクリプションビジネスに必要な業務をNTTPCコミュニケーションズがトータルで肩代わりすることで、サービス事業者はサービスの企画や営業といったコア業務に集中できる。電力・ガスの小売りの自由化や、光回線サービスの“光コラボ”モデルの導入、MVNO市場の拡大などで、通信契約を含めた月額サービスを手掛ける企業が増えているが、BPaaSを利用すれば、通信事業の経験がない企業でもサービスを短期間で立ち上げられる。また、通信以外のサブスクリプションビジネスや、企業内部の契約管理業務にもBPaaSは活用可能であり、ITベンダーの収益機会拡大に有効なサービスとなっている。
 
NTTPCコミュニケーションズの左合貴主査

 Synology Japanの営業部の田野久敏セールスマネージャーは、同社が“次世代ファイルサーバー”と呼ぶ高機能NAS製品を紹介。企業のファイルサーバーに関しては、外出先からのアクセスや、業務端末やサーバーの確実なバックアップ、冗長構成への対応、管理業務負荷の低減といった要求が寄せられているが、従来このようなニーズをフルに満たす製品は100万円以上の価格帯が中心で、中小企業が導入するのは難しかった。SynologyのNASは、製品上で動作するさまざまなアプリケーションが無償で提供されているのが特徴で、きょう体価格10万円程度の機種でも、スナップショットや重複排除、自動バックアップなどの機能が利用できる。田野セールスマネージャーは、低コストでエンタープライズレベルの機能が使えることだけでなく、ハードウェアとソフトウェアの両方が同社から提供されていることで、サポート窓口が一元化され、複数ベンダーの製品の組み合わせよりも提案しやすい製品である点を強調した。
 
Synology Japanの田野久敏マネージャー

 主催者講演では、週刊BCN記者の日高彰が「2019年、ネットワークが面白い!」と題し、5GやSDN(ソフトウェア定義型ネットワーク)などをキーワードに、ネットワーク領域のトレンドを解説した。
 
 
会場にはセミナーで紹介された製品・サービスの展示ブースも設けられた