週刊BCNは9月14日、金沢市内で最新のITトレンドと商材を解説するセミナーを開いた。「業界の“今”がわかる!有力商材が見つかる!SIer・リセラーのためのITトレンドセミナー」と題し、文字通りSIer・リセラーを対象に、法人向けIT市場の注目ベンダーが最新注力商材やそのパートナープログラムを紹介するとともに、識者がIT市場のテクノロジーやビジネスモデルのトレンドを解説した。

 基調講演には、IT産業ジャーナリストで、一般社団法ITビジネス研究会の代表理事を務める田中克己氏が登壇。「The Digital is dead? 既存ビジネスは破壊されるのか」をテーマに、現在のエンタープライズIT市場の一大トレンドとなったデジタルトランスフォーメーション(DX)の実態と課題を説明しつつ、中小ベンダーにとってのビジネスチャンスを解説した。田中氏は、「デジタル化がほとんど流行語のようになっているが、見方によっては、われわれは20年以上前からデジタル化に取り組んできたともいえる。PCやインターネット、スマートフォンは革新的だったが、それ以上に大きな価値を生み出すものが現れているのか。デジタルヘルスやデジタルマーケティングにしても、ユーザーに対して本当に競合他社との差別化をもたらすような成果が得られた例はあまり出てきていないのではないか」と指摘した。その上で、デジタル変革の波に乗るためには、企業風土を変えることが特に重要だと強調。「リスクをチェックするレビュー文化ではイノベーションを起こせない。チャレンジした人をリスペクトする文化が必要。そして、まずは自分たちが率先して先進技術についてのスキル獲得に取り組む姿勢があるかがポイントになる。DXが実態としてはまだほとんど起きていない今だからこそ、組織が小さく変革がしやすい中堅中小企業がDXのリーダー企業に成長することも不可能ではない」と会場に呼びかけた。
 
IT産業ジャーナリスト、一般社団法ITビジネス研究会代表理事の田中克己氏

 各セッションでは、市場で注目を集める製品・サービスのベンダーが自社製品のメリットやパートナー戦略を説明した。

 セッション1では、アスプローバ アライアンス営業部の周翊氏が「製造業向けソリューションプロバイダ必見!スマートファクトリー化で需要増 生産スケジューラ『Asprova APS』」と題して講演した。周氏はAsprovaについて「AI、IoTなどの活用とスマートファクトリーの流れの中で需要が非常に大きくなっている。既存のパートナーだけでは対応しきれなくなっており、新しいビジネスパートナーを募集している」と、パートナーにとって大きなビジネスチャンスが見込める商材であると強調した。Asprovaは生産スケジューラ製品として国内シェア1位を誇り、「出荷本数は1984本、海外708本という実績がある。国内シェアは6割以上という強みがある」とアピール。さらに、「豊富なスケジューリングロジック、便利なユーザーインターフェース、柔軟な外部インターフェースがAsprovaの特徴」として、ユーザーの利便性、パートナーにとってのインテグレーションビジネスの可能性が大きいことをアピールした。
 
アスプローバ アライアンス営業部の周翊氏

 セッション2では、バリオセキュア営業本部の篠原永年氏が「中小規模企業様向けに特化したUTMセキュリティ対策とSIer様と協業するパートナプログラムご紹介」と題してプレゼンした。同社は、2001年の創業以来、自社開発のUTM製品とUTM運用管理サービスを提供している。篠原氏は「UTMのニーズは飽和状態と思われがちだが、肌感覚として非常に伸びているし、特に中堅中小企業向け市場の伸びは大きいという調査会社のレポートもある」と市場のポテンシャルを説明。UTM製品ラインアップについては、従業員数100人以上のユーザー規模に特化した製品に注力しており、「経済産業省のサイバーセキュリティ経営ガイドラインVer.2.0で指摘されているように、中小企業でも、リスク対応策として防御・検知・分析の仕組みをつくることや、アクセスログ、通信ログなどからサイバー攻撃を監視・検知する仕組みを構築することが求められており、当社製品はこれをオールインワンで実現する」という。また篠原氏は、「UTM販売だけでなく、運用サービスも組み合わせ、パートナーと柔軟なアライアンスを組むことができるのも強み」であるとした。
 
バリオセキュア営業本部の篠原永年氏

 セッション3では、「特許取得済みのAIを用いたサイバーセキュリティソリューションを提供するウェブルートと共に安全を守りましょう!」と題して、ウェブルート エンタープライズ営業本部チャネルアカウントマネージャーの井上洋輔氏が講演した。井上氏は「世界最大級の脅威インテリジェンスサービスである『BrightCloud』がわれわれのキモ。これをベースに、エンドポイント、モバイル向けのフルクラウド型セキュリティソリューションを提供している」と同社の事業について説明。「パートナーベンダーも含め、非常に広範なソースから脅威情報を吸い上げてクラウド上の巨大なデータベースにためており、そのビッグデータをAIを活用して分析し、エンドポイントセキュリティにリアルタイムに生かすことができる」という。また、「多層防御も単一ソリューションで実現できるほか、スキャンが速くPCが重くならないなど、パフォーマンス面でも競合製品に対してアドバンテージがある」として、チャネルパートナーにとっても提案しやすい商材であることをアピールした。
 
ウェブルート エンタープライズ営業本部チャネルアカウントマネージャーの井上洋輔氏

 セッション4では、「バックアップデータを大幅削減できるバックアップアプライアンスとは?!」をテーマに、arcserve Japan 営業統括部マネージャーの小久保洋平氏が講演した。同社のバックアップソフトをハードウェアにプリインストールしたアプライアンス製品「Arcserve UDP 8000」シリーズの特徴を中心に解説した。小久保氏は「バックアップソフトを凌ぐ売れ筋の商品になっており、リリースから2年で販売台数も着実に伸びてきている」と、Arcserve UDP 8000が好調であることを説明。製品の特徴については、「複雑なデータ保護環境でもワンストップのトータルソリューションをシンプルに実現できるほか、アプライアンス製品なのでセットアップも簡単。最適にサイジング済みで、システム設計の工数とリスクも最小限に抑える。さらに、バックアップ対象の数や容量にかかわらず、ソフトのライセンスは使い放題」と多くのメリットを列挙した。また、ハードウェアが日本製であることも国内ユーザーの支持が高い要因だという。さらに、サポートを充実させていることも強調し、パートナーにとって売りやすい製品であることをアピールした。
 
arcserve Japan 営業統括部マネージャーの小久保洋平氏

 セッション5では、「旅費/経費精算・ワークフローソリューション『WAVE225』が経営課題解決に大きく貢献」をテーマにNTTデータ ウェーブ ICTソリューション事業部アプリケーションサービス部課長の竹内剛氏がプレゼンした。竹内氏は、「業務改革を進める上で、最重要課題として管理間接プロセスを見直すべきと考えているお客様は多い。特に経費精算や稟議申請は、オペレーションの非効率性が課題だと考えられているし、お客様にとっては一番手を付けやすい課題でもある」と解説。同社のWAVE225は、旅費・経費精算と稟議の二つの機能をラインアップしており、まさにそうしたニーズに応える製品であるという。製品の特徴としては、「旅費・経費精算はお客様ごとに業務・運用ルールを柔軟にカスタマイズでき、稟議についてもノンプログラミングで稟議書フォームを自由に設定できる」とした。さらにシステム基盤として「intra-mart」を採用しており、「拡張性が高く他の業務システムとも容易に連携できる」と強みを紹介した。今年中には、中堅中小企業をターゲットとしたSaaS型WAVE225をリリースする予定で、パートナーによる間接販売を前提に拡販していく予定であることも説明した。
 
NTTデータ ウェーブ ICTソリューション事業部アプリケーションサービス部課長の竹内剛氏

 主催者講演では、週刊BCN編集長の本多和幸が、エンタープライズITビジネスの技術トレンドやビジネストレンドなどについて取材情報を基に解説した。