都築電気(江森勲社長)は今年度、コムデザイン(寺尾憲二社長)が開発したクラウド型コールセンターシステム「CT-e1/SaaS」を全社の重点商材に位置付け、新規顧客の獲得および、既存PBXユーザーに対するアップセルを強化する。今年1月、同システムの拡張製品「CT-e1/Expander」を両社で共同開発しており、これを活用することで、従来クラウド型のシステムを導入できなかった顧客にも提案を図っていく。

(左から)都築電気の武林功樹執行役員、和田恭政部長、
コムデザインの寺尾憲二社長、都築電気の北村克幸担当部長

 都築電気は2017年10月、コールセンターシステムを開発・販売するコムデザインとの間で資本業務提携を結び、同社との関係を強化していた。都築電気 デジタル・コミュニケーション推進統括部の和田恭政部長は「業種を問わず、コールセンターシステムを必要とする企業が増えているが、オンプレミスの製品ではコストを理由として導入に至らないケースが多かった。CT-e1/SaaSの取り扱い開始で、提案先が大きく拡大した」と話す。B2B/B2Cを問わず“顧客体験”の重要性が叫ばれる中、大規模なコールセンターを持たない企業も電話対応窓口の強化に動いている。かつて都築電気は主にオンプレミスの製品でコールセンターの構築を行っていたが、席数の大小を問わず導入可能なクラウド型コールセンターシステムの需要が高まっているという。

 コムデザインの寺尾社長は、「コールセンターの課題は、運営コストの削減と応対品質向上の2点に集約される」と指摘する。10席以下といった小規模なコールセンターの場合、専用システムではなく一般的なビジネスフォンで運営されていることが少なくないが、自動応対による用件の振り分けや、稼働状況の集計が行えないため、生産性や応対品質の改善が難しかった。CT-e1/SaaSでは、着信呼の制御、オペレーターの稼働状況の管理、通話録音など、コールセンターに求められるさまざまな機能をクラウドサービスとして提供する。また、クラウド型のコールセンターシステムでは、IP電話の使用を前提としたものが多いが、CT-e1/SaaSは既存のPBXをそのまま活用することもできるのが特徴。すでにオフィスに設置されているビジネスフォンを利用してコールセンター業務を行えるので、初期の設備費用を最小限に抑えられる。
 

 その一方で、「クラウド型であるがゆえの弱点」(寺尾社長)が二つあったという。一つは、既存の電話番号の利用だ。クラウド上のシステムからの発信となるため、顧客にコールバックする際に通知される電話番号が、企業がそれまで使用していたものとは別の番号に変わってしまうこと。もう一つがセキュリティーポリシーとの整合で、通話録音を行う場合に音声データの保存場所がクラウド上となるため、顧客情報の社外保管を認めていない企業は利用できなかったことだ。

 新開発のCT-e1/Expanderはこの問題を解決するための拡張システムで、クラウド/オンプレミス連携型の構成が可能となる。着信をどのオペレーターにつなぐかといった制御はCT-e1/SaaSが担うが、音声通話自体は既存の電話回線を使用するもので、両者の連携はユーザー企業の拠点内に設置するゲートウェイサーバーを介して行う。通話内容がWANを経由せず、録音データも企業内のサーバーに保存できるので、クラウドの利用に制限がある企業でも導入可能になる。

 都築電気デジタル・コミュニケーション推進統括部の北村克幸担当部長は「コールセンターシステムとクラウドの領域では、17年の資本業務提携以来、コムデザインとの間で緊密に連携やノウハウ共有を図ってきた」と述べ、企業の通信インフラ構築で実績をもつ都築電気と、クラウドサービス開発に強いコムデザインの協業によって新たなソリューションが実現したと強調する。

 一部の部門で「通話内容の記録を行いたい」や、「働き方改革やBCP用途でクラウド型システムを検討したい」というニーズもあることから、コールセンターを運営する企業に限らず、既存のPBXユーザーの多くに提案の余地があるという。都築電気でコールセンターシステム事業を統括する武林功樹執行役員は「全ての得意先にCT-e1/SaaSを提案するよう営業担当者に指示している」と話し、今年度さらに導入実績を積み上げていく方針だ。

 さらに、録音データを自動的にテキスト化する音声認識技術を現在検証中で、今年後半のサービス提供を目指している。将来的には通話内容の要約作成を自動化し、オペレーター業務のさらなる効率化や、顧客ニーズの分析などに役立てていく考え。(日高 彰)