ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州政府関係者がこのほど来日し、日本企業向け誘致セミナーを開催するとともにデジタル・トランスフォーメーション(DX)での連携を呼びかけた。同州の経済・イノベーション・デジタル化・エネルギー省のクリストフ・ダンマーマン次官は「両国はデジタル化やモビリティー化、自動運転など同じ領域でチャレンジしている」とし、両国の協業がDX化をより加速させると期待を寄せた。

左からダンマーマン次官、ヴァスナー理事長

 NRW州は人口約1800万人のドイツ最大の州で、総GDPの5分の1強を占める。ドイツテレコムやバイエル、ヘンケルなど大企業が本社を構えるほか、70万社以上の中堅・中小企業がそれぞれの地域でビジネスを展開する。日本企業も650社ほどが進出しており、その半分以上が欧州の重要拠点として位置付けているという。

 デジタルビジネスに取り組むスタートアップも生まれており、アーヘン工科大学をはじめとする大学や研究機関の数千人の研究者らがイノベーティブなアイデアの創出と実現を支援する体制も整えている。アーヘン工科大学からスピンオフした電気自動車メーカーのイーゴー・モバイルはその1社で、デジタル工場を立ち上げた同社はインダストリー4.0を実現した典型例だという。同州経済振興公社のNRW.INVEST社のペトラ・ヴァスナー理事長によると、NRW州はeモビリティーの開発拠点でもあり、バッテリーや駆動技術、自動運転などの開発に挑戦する企業が集まっている。

 NRW州は現在、デジタルインフラ構築に約50億ユーロの投資を計画している。移動通信などのネットワークを整備し、自動運転などモビリティー分野の先進技術活用に挑む企業を支援するとともに、スマートシティに向けた幅広い取り組みの基盤としたい考えだ。スタートアップに対する支援には特に重点的に注力するという。

 同州デュッセルドルフ市は5年前にスタートアップの立ち上げ支援や誘致策を打ち出し、ベンチャーキャピタルや大企業とのマッチングをはじめとするスタートアップに必要なエコシステムを整えてきた。日本貿易振興機構とスタートアップ育成に関する覚書もこのほど交わしたという。日本のスタートアップの積極的な進出を促す意向だ。(田中克己=IT産業ジャーナリスト)