KDDIは7月17日、法人ビジネスの戦略説明会を開き、2020年度(21年3月期)は新型コロナ禍で見えてきた課題を踏まえて改めてテレワークにフォーカスする方針を明らかにした。セキュアで柔軟な働き方を実現するITソリューションの拡販に注力する。利便性とセキュリティの担保を両立したテレワーク環境を実現するための製品群を「KDDIハイブリッド・ゼロトラストソリューション」というブランドの下に整理し、顧客ごとの状況に合わせたソリューション提案がしやすい体制を整えたという。

 KDDIハイブリッド・ゼロトラストソリューションは「デバイス」「ネットワーク」「ID(認証・認可・監査」「セキュリティ」「クラウド・アプリ」「オペレーション」という六つのコンポーネントで構成される。KDDIが法人向けに提供しているプロダクトやサービスをこのコンポーネント単位で分類した。同時に、顧客のネットワーク環境を「クローズド」「リモート」「フレキシブル」「オープン」の四つの“型”に分け、顧客ごとの現状と目指す姿に応じて、必要なコンポーネントを組み合わせ、事業環境の変化に強いビジネス基盤の整備を支援するというイメージだ。

 クローズド型は、基本的にはオフィスで仕事をすることを前提にオンプレミスで構築された社内システムを指し、メールやグループウェアなど一部機能のみクラウド環境を活用する型だ。一方リモート型は、オフィスと在宅勤務を並行すべく社外から社内ネットワークにアクセスできる環境を整えた状態だが、クラウドを活用する場合も、必ず社内ネットワークを経由することになる。同社ソリューション事業本部の丸田徹・サービス企画開発副本部長は「ほとんどの従業員が社内で働くという前提ならリモート型は機能するが、コロナ禍のように社員が一斉に在宅勤務をするようになると新たな課題が浮上してきた。全ての仕事をオフィスを介して行う必要があるため、社内のネットワークが輻輳して業務に支障が出るケースも少なくなかった」と指摘する。

 そこで同社は、社内システムへのリモートアクセスだけでなく、クラウドには社内を経由せずに自宅などから直接セキュアに接続できる仕組みを構築するフレキシブル型を「現実的なゼロトラストのモデル」(丸田副本部長)として推奨していく方針だ。丸田副本部長は、「全ての業務をサイバー空間で行うことができるようにするオープン型に対応できる商材・サービスも揃えているが、必ずしも全ての企業にとって一足飛びに目指すべき姿とは言い切れない。現時点ではまず、多くのお客様をフレキシブル型に誘導するのが、コロナ前に後戻りしないレジリエントな環境づくりに役立つと考えている」と話す。KDDIは同日、フレキシブル型の実現に貢献するセキュリティコンポーネントの“キラーコンテンツ”として、クラウド型セキュリティサービスの米ゼットスケーラーと一次販売代理店契約を結んだことも発表した。

 藤井彰人・執行役員ソリューション事業本部サービス企画開発本部長も「KDDIは中期経営計画で来年度(22年3月期)、ビジネスセグメントの売上高1兆円を目指しているが、コロナ禍を経て、改めてオフィスのITを再構築する重要性が増していると考えている」とコメント。KDDIハイブリッド・ゼロトラストソリューションを、法人ビジネスの中核商材として拡販していく意向を示した。(本多和幸)