日立システムズは3月29日、各種検診や健康診断などの総合健康支援活動を通じて神奈川県民の疾病予防や健康の保持増進に貢献している神奈川県予防医学協会に対して「業務効率化支援サービス」を提供し、腎臓病検診(尿検査)に係る業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現を支援したと発表した。

RPAの活用による業務改善イメージ図

 神奈川県予防医学協会は、事業計画書の基本方針に「職員全員の叡知で労働生産性を高め、事業運営の効率性、即効性を追求し、さらなる強靭な運営体制への改革を進める」を掲げ、中期計画に基づいた働き方改革による労働生産性の向上を推進している。

 そうした中で、神奈川県下の2000校以上の小・中学校や保育所から受託している尿検査に係る業務は、合計約65万人を対象にしており、名簿回収と取りまとめ、結果報告書の印刷など大量の事務作業を尿検体の搬入からわずか4日間で行う必要があり、業務負荷が極めて高い状況だった。毎年臨時で月当たり40~50人のパートタイム労働者を雇用して対応しているが、人手不足やコロナ禍を背景に、年々パートタイム労働者の確保も困難になってきていることから、業務効率化が課題となっていた。

 こうした背景を踏まえ、日立システムズでは、神奈川県予防医学協会に対して、尿検査に係る業務プロセスの改善や、RPAなどのデジタル技術の活用により業務自動化を支援する「業務効率化支援サービス」を提案した。その結果、(1)RPA適合度の見極めや想定効果算定に向けて、トライアルを実施してから本格導入できること、(2)RPAの適用だけにとどまらず、協会の業務内容を深く理解した業務改善提案であったこと、(3)協会職員に向けたRPA活用教育など、現場主導の業務改革をサポートする提案内容であったことの3点が高く評価され、導入に至った。

 今回の取り組みでは、まずトライアルとして尿検査結果報告書作成業務の一部を対象に、RPAロボットの動作確認と有効性を検証した。その結果、有効性が確認できたため、業務手順書とヒアリング内容を基に、業務プロセスの改善案やRPAによる業務自動化案を提示した。

 具体的には、神奈川県予防医学協会では、これまでは光学メディアや紙などに記載された受診者名簿を尿検体と一緒に受け取っており、名簿のOCR読み取り業務やファイル様式の変換業務が多数発生していたことから、日立システムズは、名簿をウェブサイトからデータ形式で受け取る方法の追加を提案した。

 その際には、新たな業務となる受診者名簿を取得するウェブサイトの入力フォームの設計を支援するとともに、これまでと同様の光学メディアや紙などの提出でも、RPAで自動化する部分と人手で作業する部分の切り分けを行い、名簿取得や様式変換、印刷業務などのRPAで自動化する部分については日立システムズが設計し、RPAの導入までを行った。

 これらにより、尿検査の結果報告書作成業務の人手による作業時間を年間500時間以上削減しただけでなく、作業ミスの防止など品質向上も実現した。また、担当者1人当たりの事務処理件数は、前年度比で581件増加し、労働生産性が12%向上する効果が得られた。今年度はコロナ禍の影響により、尿検査の結果報告書作成業務のために確保できたパートタイム労働者が月当たり10人程度と少なく、人員不足による懸念があったが、4日間という所定の期間で遅延することなく対応することができた。

 さらに日立システムズは、神奈川県予防医学協会が今後も他の検診業務を対象として継続的に現場主導の業務改革を行っていくことを支援するため、RPAに関するハンズオン研修やオンサイトでの技術支援サービスも提供し、さらなるRPA活用に向けた下地づくりを神奈川県予防医学協会とともに実施した。