米ファンドのシンフォニー・テクノロジー・グループに売却されるマカフィーの法人事業は、売却が完了するまで「McAfee Enterprise」を名乗り事業を行うことを明らかにした。社名変更ではなく売却が完了までの一時的な措置であり、この期間中は関連会社の傘下となる。売却は年内に完了する予定で、その後、新会社を設立し新社名で法人事業を展開する予定だ。
8月18日に開催した記者発表会では、SASE(Secure Access Service Edge)に対応するセキュリティサービス「McAfee MVISION Unified Cloud Edge(MVISION UCE)」にZTNA(ゼロトラストネットワークアクセス)機能「McAfee MVISION Private Access」を追加したと発表した。
MVISION Private Accessについて、櫻井秀光・執行役セールスエンジニアリング本部本部長は「ZTNA機能を提供している企業は多く、当社は後発となる。差別化を図っていくため、『データ認識型のZTNAソリューション』としてアピールしていく」と述べた。
櫻井秀光
執行役
具体的には、「多くのZTNA機能は認証を通過したユーザーに対して、その後のアクセス制御はできない。そのため、データの持ち出しといったリスクがある。MVISION Private Accessでは、DLPやWeb分離機能を活用してアプリケーションやデータごとに保護ルールを適用することで、認証を通過した通信へのセキュリティ対策が行える」(櫻井執行役)と説明した。
MVISION UCEは、今回追加したZTNA機能のほかにも、SASEで必要とされるセキュアWebゲートウェイ、CASB、DLP、Web分離機能が実装されている。年内にはFWaaS(Firewall-as-a-Service)機能の追加を予定しており、さらにSASEへの対応を強化していく。
SASEはネットワーク機能とネットワークセキュリティ機能の両方を包括的に提供することが求められるが、同社では「SASEを1社で実現できるとは考えていない。ネットワーク機能についてはネットワークベンダーと協業する」(櫻井執行役)と方針を示している。(岩田晃久)