製造業向けSI事業などを展開するゼネテックと、AI技術の研究・開発などを手がけるBIRD INITIATIVEは10月25日、製造や物流のラインをデジタルツイン化し、AIで生産最適化などのシミュレーションを高速・高精度で行えるソリューション「iPerfecta(アイパーフェクタ)」を発売した。ゼネテックが日本総代理店を務める3Dシミュレーションソフトウェア「FlexSim」にBIRDのAIアクセラレーター「assimee」を統合し、従来では難しかった目標値を基にした各種設定パラメーターの算出を可能とした。FlexSimのアドオン機能として提供され、今後5年間で国内外で300ライセンスの販売を目指す。
ゼネテックの上野社長(左)とBIRDの北瀬社長
FlexSimは米企業が開発。製造・物流ラインなどのシミュレーションモデルを3Dで構築し、人やモノの流れを計算。機械や作業員の稼働率・作業負荷などの情報を円グラフや折線グラフで可視化できる。デジタルツインを活用して、稼働率や生産数が最大となる最適解をシミュレートする機能も備える。ただ、最適解となるパラメーターを導き出すまでには、設定を変えながら何度もシミュレーションを実行する必要があった。
iPerfectaはユーザーが求める稼働率や生産量などの「結果」を入力することで、AIが必要となるパラメーターを推定し、検証までを高速に実施できるという。また、assimeeの特性を生かし、データ量が少ない場合でも精巧なデジタルツインを作成することが可能だとする。
BIRDはNECや大林組などの出資で設立し、事業会社や学術機関、金融などとの「共創型R&D」による新事業創出に取り組む。今回の連携について、北瀬聖光社長兼CEOは「assimeeを成長させるための最適なパートナーとなる」と手応えを示した。ゼネテックの上野憲二社長は、iPerfectaで日本の製造業再生に貢献したい考えを強く示し「生産性向上、競争力強化を実現し、日本の製造業復活を実現する強力なソリューションであると確信している」と強調した。(藤岡 尭)