さくらインターネットは3月24日、IoTシステムの構築に必要な機能と開発環境を一貫して提供する月額制PaaS「さくらのモノプラットフォーム」の正式提供を開始した。「プラットフォーム」「設計情報」「通信回線」で構成され、エンドユーザーのIoT環境を構築するSIerや内製化に取り組む事業会社などを主な顧客層として、拡販を進める。
同社は、IoT関連サービスとして、通信モジュール、通信環境、データの保存や連携処理に必要なシステムをまとめた「sakura.io」、通信部分を切り出したIoT/M2M向けSIMサービス「さくらのセキュアモバイルコネクト」を提供してきた。前者は専用モジュールを活用しているため、スケーラビティに難があり、後者は通信以外の部分でのシステム開発の負担が大きくなっていた。モノプラットフォームはこの二つの課題をカバーする存在となる。
プラットフォームは、IoTデバイスと、データなどの送り先となるクラウドアプリケーションの間に入る。デバイスからバイナリ形式でデータをプラットフォームに送るだけで、アプリに応じた形式に変換・転送してくれるなどの特徴がある。デバイス管理では登録や認証、監視などの機能を、ブラウザー上のコントロールパネルと、管理の自動化が可能なAPIを通じて提供する。
設計情報では、デバイスSDK、ハードウェアの開発キット、アプリ制作を支援するクラウドSDKを用意し、開発作業の負担を軽減する。通信は現状ではセキュアモバイルコネクトの利用を前提としているが、将来的にはそれ以外の通信回線にも対応する方針だ。
料金は事務手数料などの初期費用は不要で、1デバイスあたり220円の基本利用料に加え、通信データ内容に合わせたオプション料金、セキュアモバイルコネクトの利用料金が必要となる。通信実績がない場合は基本料金も含め課金されない。
2021年7月にβ版をリリースし、これまでに120社以上が利用している。太陽光発電などの自然エネルギー発電設備の監視、農業設備の稼働状況の把握などの用途で、今後も屋外での利用需要が多くなると見込む。
パートナーについては、省電力で長距離のデータ通信を可能とする無線通信技術、開発キットの製造やクラウドアプリケーション開発などに長けた企業と連携したいとする。
竹井清恭 部長
IoTプラットフォーム事業部の竹井清恭・部長は「IoT分野における技術面とビジネス面の両方の課題を解決し、お客様に必要とされ続けるサービスとして発展させていくことを目指す」と話した。
(藤岡 堯)