ラックは2月6日、イスラエルのSygnia Consulting(シグニアコンサルティング)と、セキュリティインシデントの原因究明調査や復旧といったインシデントレスポンス分野で業務提携すると発表した。ラックが運営する「サイバー救急センター」の体制強化を図り、増加するインシデントへの対応を迅速化する考えだ。
今回の協業では、Sygniaが独自開発したクラウドを含む多様な環境に適応可能なインシデント対応支援ツール「VEROCITY XDR」をサイバー救急センターに導入し、インシデントへの対応スピードの向上を図る。事故対応で得られた情報を両社で分析し、オペレーション技術の最適化に取り組む。Sygniaの各拠点と連携強化し、国内企業の海外拠点やサプライチェーン企業のインシデントにも対応できるようにする。将来的には、共同で新たなセキュリティソリューションの開発を目指す。Sygniaは国内市場での認知拡大を狙う。
サイバー救急センターは2009年に設立。約60人が所属し、24時間体制でインシデントの相談対応や原因調査を行っており、累計で4000件以上の案件に対応したという。20年以降は、リモートワークの普及やマルウェア「Emotet」による被害の拡大などを受け、相談件数が増加、調査の長期化や対応できないケースも出てきていることから、Sygniaとの協業に至ったとした。
Sygniaは、イスラエル以外にも北米や欧州など、グローバルに拠点を設け、金融犯罪やデータ侵害、内部不正といったインシデントへの対応や予防対策などのサービスを提供しており、豊富な実績を持つ。
西本逸郎 社長
ラックの西本逸郎社長は「サイバー救急は、デジタル社会に必要不可欠なインフラとなる。(インフラとして)維持していくには、技術革新とスピードアップが不可欠だ」と力を込めた。
(岩田晃久)