米Symphony Technology Group(シンフォニー・テクノロジー・グループ)傘下のMusarubra Japanは4月13日、セキュリティブランド「Trellix(トレリックス)」の事業戦略説明会を開催し、ビジネス概況や2023年の注力領域などを発表した。2月に社長に就任した権田裕一氏は、XDR(Extended Detection and Response)に注力する方針を示し「XDR市場でマーケットリーダーになること、そして、XDRの先にある、セキュリティ運用の変革を実現するのが当社のミッションだ」と力を込めた。
(岩田晃久)
権田裕一 社長
米Trellixは、米McAfee(マカフィー)の法人事業と米FireEye(ファイア・アイ)が合併し22年1月に設立。現在、国内ではTrellixとして法人登記はしておらず、セキュリティ事業を展開するMusarubra Japanが製品やサポートを提供している。今後、時期は未定としながらも、社名変更し、Trellixの日本法人として活動する予定だという。
記者会見の冒頭で、権田社長は22年のグローバルの活動を振り返り、McAfeeとFireEye製品の統合、研究部門の強化、ドバイやパリなどで開催したブランドローンチイベントを紹介した。
23年の注力領域としているXDRは、エンドポイント、ネットワーク、メール、クラウドなどに設置したセキュリティ製品の情報を統合・分析し、脅威をいち早く検知して対応までを行うセキュリティ対策。権田社長は、サイバー攻撃の巧妙化や攻撃範囲の拡大、セキュリティ対策のサイロ化、セキュリティ人材不足などが原因で、セキュリティ運用の負荷が高まっているとし、解決策としてXDRが有効だと説明した。
同社のXDRソリューションは、豊富なサードパーティー製品との連携を特徴としている。「現在は、約1000のサードパーティー製品をXDRのセンサーとして利用できるプラットフォームとなっている。エンドポイントセキュリティ製品などは当社も提供しているが、他社の製品を既に利用しているユーザーはそのままでも問題ない。重要なのは、よりよい検知をしていくことだ」(権田社長)という。各センサーから収集したデータを解析する「Trellix XConsole」を年内にリリースする計画で、その後、本格的にXDRソリューションの販売に取り組む。
今秋には、アンチウイルスを強みとしていたMcAfeeと、フォレンジック機能に強みをもつFireEyeの、それぞれのエンドポイントセキュリティ製品を統合した新製品「Trellix Endpoint」の提供も予定している。権田社長は「軽いエージェントで、統合的なエンドポイントセキュリティ機能を提供する隙のない製品だ」と強調した。
23年はこのほか、フィッシング攻撃をはじめとしたメールによるサイバー攻撃の増加により、メールセキュリティ製品「Trellix Email Security」の利用が22年から拡大していることから、引き続き同サービスの利用を促進する。企業内部からの機密情報持ち出しへの対策としてDLP製品「Trellix DLP」の拡販にも注力する。これらの製品は、XDRにおいて重要なセンサーの役割を果たすという。
セキュリティ製品の導入や運用を支援する「プロフェッショナルサービス」の強化も図る。現在は、SOC、CSIRTの運用支援の案件が増加しており、今後はこれらに加え、XDRの導入支援を提供していく予定だ。