バッファローの法人向けビジネスが順調に推移している。販売パートナーとの関係強化を進めてきたことが奏功し、直近の売り上げは、力を入れ始めた5年前に比べて25%増になった。法人向けビジネスを統括する横井一紀・常務取締役は、主力のネットワーク製品を中心に中小企業のDXを支援し、さらなる成長を目指すと意気込む。
(齋藤秀平)
横井一紀 常務取締役
法人向けビジネスを成長させるに当たって、同社が特に重要視しているのは、パートナーを“深掘り”することだ。横井常務取締役は、組織体制を大幅に刷新し、法人向けビジネスに注力する姿勢をより鮮明にした2022年は「われわれが知らない部署をないようにして、会う人のレイヤーも広げることを意識した」と話す。
同社は、パートナーとの関係強化策の一つとして、パートナーの社内での内覧会・展示会を積極的に開催してきた。会議室などを借りて製品を展示し、訪れたパートナー側の社員と会話しながら設定などを説明する内容で、22年の開催回数は前年比2倍以上の100回超となった。
横井常務取締役は「内覧会・展示会は、半日や1日かけて開催し、都合がいいときに気軽に来てもらえるようにした。そうすることによって、営業担当だけでなく、技術担当など、幅広い部門の社員に会うことができた」と強調する。
取り組みの成果は販売面に出ている。パートナーの間では、製品への知識に加え、同社が強みとする調達や供給に対する理解が浸透し、Wi-FiアクセスポイントやNASなどの取り扱いは増加。リモート管理サービス「キキNavi」に関しては、この1年で累計登録社数が約5000社から約7000社に増え、機器の累計登録台数は約2倍になった。
また、モノ不足が深刻になる中、別メーカーの製品を取り扱っていた販売店が、リスク回避の一環で同社の製品を扱い始めるケースもあったという。
横井常務取締役は「法人向けビジネスでは、以前はディストリビューターだけを見ていた。製品を発売しても、各販売店との関係がきちんとつくれておらず、ビジネスが立ち上がるまでに時間がかかっていた」と説明し、「今は製品を取り扱う販売店が広がっているので、製品やサービスを増やし、販売を広げていくための土台はできている」と手応えを示す。
その上で「コロナ禍で広がったDXの波が、今後はわれわれが主な顧客とする中小企業にも広がるとみている。各企業がクラウドサービスの活用などの手を打つ際、ネットワーク環境は必ず必要になるため、しっかりと支援していくことが今後の成長のポイントになる」と力を込める。
同社は、パートナーへの支援拡充を目的に、これまでの5年間で全国の拠点と営業担当者の数を約2倍に増やし、技術的なサポートを担うフィールドエンジニアの数をこの1年で約1.5倍にした。
現在、同社が提供するVARパートナープログラムの累計登録事業者数は約4100社。このうち、ビジネスプランと技術サポート情報を共有しながらエンドユーザーの導入を支援する最上位のPremiumパートナーの累計登録事業所数は約500社となっている。