データ・エントリ業務を担う企業で組織する日本データ・エンジニアリング協会(JDEA、旧日本データ・エントリ協会)は、問題となっているマイナンバーカードに関連する一連のデータエラーの原因について、「人によるデータ検証の作業が不十分ではないか」(河野純会長=電算社長)との所感を発表した。マイナンバーカードを誤った情報にひもづけしてしまうことを「単にヒューマン・エラーと結論づけるには違和感があり、データの誤入力を補正する検証作業が足りなかった可能性が高い」と指摘している。
河野 純 会長
JDEAによれば、データ検証を重ねることで誤入力を最大で10万分の3に減らすことができるとしている。河野会長は「ヒューマン・エラーは“原因”ではなくて“事象”に過ぎない」と、発生を防ぐことが難しい事象に正しく対処することが大切だと説く。
誤った情報とのひもづけによって、社会的な混乱を招きかねないマイナンバーカードの入力では、「データ入力の専門家の目による複数回の検証、照合作業によって限りなく100%に近い正確さが求められる」とし、必ずしも専門家ではない役所の担当者や、データ入力に不慣れな業者に委託していてはヒューマン・エラーの十分な対処は困難だと見ている。
しかし、データ検証は最終的に人の目による確認作業が欠かせず、コストがかかる。マイナンバーカードは健康保険証、銀行口座などさまざまなシステムとのひもづけが進んでいるが、データ入力にどれほどのコストをかけ、どのレベルの精度を求めるのかといった運用上の指針の整備、投資対効果の見極めが求められる。
河野会長は「円滑なマイナンバー制度の運用と発展、さらにはわが国の高度デジタル化の進展に向けて、当協会としても貢献したい」と話している。
(安藤章司)