西武鉄道は7月10日、東京・西武新宿駅正面改札付近に、12カ国語の翻訳に対応できるディスプレイを設置し、実証実験をスタートした。透明なディスプレイに翻訳された言葉が表示される仕組みで、インバウンドで増加する外国人観光客に対面でスムーズに対応するのが目的。性能の検証を経て秋に本格導入する。
西武新宿駅に設置された透明パネル翻訳ディスプレイ
ディスプレイは、凸版印刷が開発した「VoiceBiz UCDisplay」。透明なディスプレイに話した言葉の翻訳テキストが吹き出しに入って表示される。利用者は希望の言語を選び、駅員は日本語で対応できる。情報通信研究機構(NICT)が開発した国産翻訳エンジンを凸版印刷がカスタマイズし、英語、中国語、タイ語など12カ国語に対応。発話から2~3秒程度で翻訳されたテキストが表示される。今回の実証実験にあたって、鉄道特有の単語や沿線の駅名、観光施設の名称なども事前学習させた。
これまで西武鉄道では、池袋のツーリストインフォメーションセンターで多言語案内の対応を有人で行ってきたが、外国人観光客の利用が多い新宿でも対応を強化することとなった。9月末まで実証実験を行い、翻訳精度などを確認。必要な場合はシステムに修正を加えた上で、秋から西武新宿駅で正式に運用を始める予定。
西武鉄道でインバウンド対応を担当する矢島綾乃氏は「透明ディスプレイなので、顔をみて円滑にコミュニケーションができる。外国人観光客に対応する駅員の負担軽減にもつながる」と期待を寄せた。
VoiceBiz UCDisplayは、周辺の雑音など環境音に強く、認識精度が高いのが特徴。現在、富士山5合目の観光案内所でも試験的に導入されている。凸版印刷では試験運用の結果を踏まえ、10月ごろに発売する見通し。駅や空港、ホテル、自治体窓口などでの利用を想定している。
(堀 茜)