スウェーデンに本社を置く製造業向けERPベンダーのIFSは、国内ビジネスパートナーの拡充に力を入れている。直近の主なビジネスパートナーはNEC、日本IBM、アクセンチュアなどで、今後は国内SIerでの取り扱いを増やしてもらえるよう働きかけていく。すでに20社余りが関心を示しているという。IFSはグローバルで間接販売チャネルの整備を進めており、国内でもパートナー施策を充実させていく。
(安藤章司)
IFSのグローバルでの事業セグメントは、ソフトライセンスなどのソフトウェア事業と、ERP導入コンサルティングなどのサービス事業の二つが柱。上半期(2023年1-6月)の全社売上高は前年同期比38%増の4億9300万ユーロ(約780億円)で、うちソフトウェア事業は同44%増の3億9200万ユーロで全体の79%を占めるまで拡大した。
(左から)IFSジャパンの大熊裕幸社長と
IFSのヴィンセント・カルバーリョ・地域担当プレジデント
一方、サービス事業の伸びは相対的に鈍化しており、その理由として、ヴィンセント・カルバーリョ・アジア・中東・アフリカ地域担当プレジデントは「導入コンサルなどサービス部分をビジネスパートナーにより積極的に担ってもらうことにした」ことを挙げる。間接販売チャネルの拡充策を打ち出していることが、「昨年度(22年12月期)まで5期連続で売上高2桁増を維持する原動力の一つになっている」と話す。
また、成長が続くもう一つの理由として、「設備保守」や「出張保守サービス」のモジュールを充実させ、アップセルや隣接業種への展開を推し進めている製品戦略が挙げられる。製造業ユーザーが手掛けることが多い製品保守の業務を支えるシステムや、客先に設置した製品を出張保守する際の保守人員、部品、訪問ルートを最適化するシステムが、「製造業向けERP製品と同様によく売れている」(同)と手応えを感じている。
国内においても保守サービスや出張保守サービスの訪問ルートを最適化するのに活用されるとともに、大手航空会社が自社で運航する航空機の保守業務を管理するシステムとして採用されているなど隣接業種にも納入先が広がっているという。
IFSは、設備保守や出張保守サービスのノウハウを応用可能な業種として▽製造全般▽航空防衛▽電力ガスなど公益事業▽出張保守サービス▽通信キャリア▽石油ガス―の六つを重点業種に焦点を当てる。通信キャリアは通信網を維持するための設備保守、石油ガスはプラントを維持する業務にIFSのモジュールを有効活用できるとみている。
日本法人であるIFSジャパンの大熊裕幸・社長は「ターゲットが明確でモジュールも充実しており、一度商談が始まれば受注確度が高い商材」だとビジネスパートナーに向けて訴求していくことで販路拡大を推し進めていく。