キヤノンITソリューションズは、独自の画像処理システムとして異常監視の「ANOMALY WATCHER（アノマリー・ウォッチャー）」を11月に投入した。2021年に発売した外観検査AIの「Visual Insight Station」、小売店の商品棚の映像から販売動向を分析する「StoreMotion」に続く第3弾。カメラで映し出される映像の変化を検知し、工場施設などの火災発生時の初期消火や、長時間にわたる製品試験で変化が起きたときに通知するといった用途を想定している。
 
　第2弾までは画像認識のAIエンジンを駆使した製品だが、今回は「学習に手間がかかるAIは使わず、単純に変化のみを検知する方式」（エンベデッドシステム第一開発本部の古野文一氏）を採用。単純な仕組みにすることで異常検知に特化した製品に仕上げた。火災予防や製品試験以外にも、配管から液体が漏れ出る様子や、食品メーカーでの昆虫や小動物を検知するなどの使い方もできるとみている。

　キヤノングループでデンマークに本社を置くMilestone（マイルストーン）のビデオ管理ソフト「Milestone XProtect」と連携する仕組みで、通常の監視カメラとして使いつつ、異常を検知したときに警報を鳴らす1台2役の機能を持たせることが可能だ。

　昼夜の変化のほか、枯れ葉が舞ったり、雲の動きが写り込んだりする屋外での用途には適していないが、今後、需要が顕在化するようであれば、「Visual Insight Stationなどで培ってきた画像認識AIをANOMALY WATCHERに組み込むことも検討していく」（古野氏）と、機能拡張を進める方針。
（安藤章司）