富士フイルムビジネスイノベーションジャパン(富士フイルムBIジャパン)は、日本マイクロソフトのERP「Dynamics 365」の国内販売を2024年度から始めることで、ITソリューション事業を一段と強化する。同社は中堅・中小企業向けITソリューション体系「Bridge DX Library」や、業務改革基盤サービス「FUJIFILM IWpro」、IT運用支援「IT Expert Services」など情報系システムや運用支援サービスを拡充してきたが、Dynamics 365を手掛けることで「情報系から基幹系に至るまでフルラインアップがそろえられるようになる」(旗生泰一社長)と話す。
旗生泰一 社長
Dynamics 365を巡っては、取り扱いや実装の技術、知見を習得するため21年11月に富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)本体や富士フイルムBIジャパンなど関係会社に自社導入することを発表。24年度以降、基幹業務システムとして順次稼働させるスケジュールとなっている。国内販売会社である富士フイルムBIジャパンでは自社導入プロジェクトに関わった人材や知見を活用するかたちでユーザー企業への販売を始める。
情報系システムの領域では、22年5月から建設、製造、医療、福祉の4業種を重点ターゲットとしてBridge DX Libraryの販売を始めたのに加え、複合機やPCなどの運用支援としてIT Expert Servicesを23年6月に発表。その後、10月には業務アプリと連携させてクラウド上にワークスペースを構築する業務改革基盤サービスのIWproを発表している。Bridge DX Libraryでは、23年4月から新しく公共、流通卸の2業種を重点ターゲットに加え、計6業種を重点業種と位置づけた。社内外のさまざまなITソリューションを組み合わせて150種類近いメニューを拡充することでユーザー数を伸ばしている。
旗生社長は、Bridge DX LibraryやIWproによって「経営課題や業務課題にリーチできる商材を揃えることができた」と自負している。富士フイルムBIジャパンは複合機ユーザーを中心に国内数十万社の顧客を擁しており、クラウドワークスペースのIWproは27年度までに1万社への販売を見込んでいる。Dynamics 365の投入によって、より深くユーザー企業の経営課題や業務課題に入り込んでいくことが可能になるとみる。
ここ数年でITソリューション商材が急増したことを受けて、社内人材のキャリアパスを整備したり、志望する職種や職位に合わせた研修コンテンツを拡充したりするなどして人材のスキル転換を急ピッチで進めている。並行して地域のビジネスパートナーとITソリューションの領域でも連携を深め、「地域のユーザー企業とビジネスパートナーとともに成長していく」(旗生社長)と、人材育成やパートナー連携によってITソリューション事業を伸ばしていく。
(安藤章司)