AIインテグレーターのRist(京都市)は、医療分野でのAI画像解析ビジネスを加速させる。同社は工場での製品外観や排水処理などの検査業務をAI画像解析によって自動化、効率化するビジネスで成長している。工場分野で培ったノウハウを人の血液や組織といった病理検査に応用することで、ビジネスの幅を広げる。
長野 慶 社長
医療分野への本格進出に当たって、長野慶社長は「AIソフトウェアだけの開発(リソース)ではハードルが高い」とし、顕微鏡などの医療機器に長けた技術者を増員。医療機器メーカーとの連携を深めながら、強みとするAIソフトを活用してもらう手法をとる。既存の工場分野でも、検査用のカメラ機材の取り扱いを増やし、「ハードとソフトの最適な組み合わせで提案できる体制を強化する」(長野社長)方針だ。
同社の昨年度(2023年3月期)売上高は6億円。内訳は工場系のAI検査事業が約6割、AIを活用したデータ分析事業が約4割を占める。データ分析では「ユーザー先にあるデータからどのような予測や洞察が得られるのか、具体的に提案できるコンサルティング能力を高めていく」(長野社長)とし、データ分析のコンサルタント要員を充実させてユーザーの課題発掘に努める。また、生成AI活用の需要も高まっており、組立製造では設計図や製品写真、類似特許の検索、化学や創薬では過去の実験データをとりまとめる業務などへの応用を見込む。
営業やマーケティングの人員も拡充し新規案件の獲得に努めることで、3年後の27年3月期の売上高は昨年度比で約4倍の25億円を目標とし、従業員数は現在の2倍の150人規模を想定している。
Ristは京セラコミュニケーションシステムのグループ会社で、データ分析の最適モデルを競い合うKaggle(カグル)の上位成績者が多数在籍。直近では最上位のグランドマスターとマスターを獲得した人材が計11人在籍しているが、26年3月期までに20人に増やすことを目指している。
(安藤章司)