新体制となったNTTデータグループが本格始動した。持ち株会社であるNTTデータグループの社長と、海外事業会社のNTT DATA, Inc.(NTTデータインク)社長が6月に相次いで交代。持ち株会社と国内事業会社のNTTデータ社長を兼務する佐々木裕社長は、週刊BCNなどの取材に「英ロンドンを拠点とするダビー氏と密に連携する」と、二人三脚で経営に臨むとコメント。NTTデータインクのアビジット・ダビー社長は「日本企業のよさと欧米企業のよさを生かした経営を実践する」と話した。
NTTデータグループの佐々木裕社長(左)と
NTTデータインクのアビジット・ダビー社長
ダビー社長は米コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーで、顧客であるNTTグループを約10年にわたって担当し、2021年に英国に本社を置くNTT Ltd.(NTTリミテッド)に入社。欧米でのビジネス経験が評価され、NTTデータグループの海外事業のトップを担うことになった。海外事業の目下の課題は、伸び悩む北米ビジネスの立て直し。ダビー社長は「ここ2、3年の北米市場全体の伸び率は3~7%で、2桁成長にはならない」と見通しを示した上で、ITインフラのデータセンター(DC)からアプリケーション構築、保守運用までフルスタックでサービスを提供できるNTTデータグループの強みを生かし、「市場の成長率を上回る業績の伸び」を目標に掲げる。
一方、国内事業の延長線上の位置付けでマレーシアの大手決済サービス会社GHL Systems(GHLシステムズ)の株式公開買付(TOB)を6月中旬から実施。マレーシアやタイ、フィリピンなどで決済サービスを提供している同社と、NTTデータが国内で長年培ってきた決済サービスのCAFIS(キャフィス)のノウハウを組み合わせることで、「ASEANでの決済サービスビジネスを伸ばす」(佐々木社長)。GHLシステムズを傘下に収めることで、ASEANやインドを中心とした海外ペイメント事業の売上高は約460億円に達する見込みで、これを2030年までに1500億円へ拡大させる。
(安藤章司)