NTTデータは、上流コンサルティング力の強化や生成AIのビジネス活用、M&A推進を柱とする国内事業の成長戦略を明らかにした。上流コンサルティングではユーザー企業のビジネス戦略に深く関与できる人材を育成。生成AIでは用途に応じてプライベートとパブリックを使い分けるハイブリッド化に力を入れる。M&A推進では2023~25年度(26年3月期)までの3カ年で1000億円規模の投資を視野に入れる。
佐々木裕 社長
上流コンサルティングの二つの事例として、▽スマートフォンのアプリを通じた禁煙治療や糖尿病治療の支援などに向け、塩野義製薬と進めたデジタル治療流通プラットフォームの構築▽鉄道や駅ビル、ホテルなどの共通ポイント制度による集客や顧客満足度の向上を支えるJR東海とのプラットフォーム構築-を挙げた。国内では現在、約2400人のコンサルタント人材を抱えており、「より顧客の経営中枢と対話し、ビジネス戦略をともに考案できる人材育成に取り組む」(佐々木裕社長)考えを示した。
生成AIでは、機密情報をパブリック環境に置くことを懸念するユーザー企業が少なくないことからプライベートクラウドなどの閉域環境でも高い精度を発揮するNTTの大規模言語モデル「tsuzumi」を活用したサービスを今年4月から提供する。また、NTTデータが11年にわたって提供しているX(旧Twitter)データ分析サービスでは、「Google Cloud」の生成AIの技術要素を取り入れ市場トレンドの予測機能を強化。ほかにも日本IBMの「watsonx」を使った保険業務支援を手がけるなど、適材適所の生成AIエンジンを使ってユーザー企業のビジネスに役立てる。
過去数年の国内M&Aは年間20~30億円の投資にとどまっていたが、「事業成長の手段として積極的にM&Aを手掛けていく」(佐々木社長)とし、1000億円規模の投資を行い、先進的なデジタル技術や人材の確保を進める。
(安藤章司)