オープンソースのデータベース(DB)を法人向けに提供している米EnterpriseDB(エンタープライズディービー)は、日本での販売拡大に注力している。AIの活用拡大でDBの需要が高まっていることを受け、価格優位性を前面に押し出し、パートナーとの協業でビジネスの拡大を目指す。
同社は、オープンソースのDB管理システム「PostgreSQL」に機能とサポートを追加しエンタープライズで安全に利用できる製品として販売、グローバルで2500社、国内では200社の顧客を持つ。米Oracle(オラクル)製品との互換機能を製品に組み込むなど、既存環境からの容易な移行が可能。他社製品を使っている企業が、ライセンスが切れるタイミングで切り替えるケースが多いという。
日本法人の勝俣正起社長(右)と
米本社のスチュアート・フィッシャーAPJバイスプレジデント
スチュアート・フィッシャー・APJバイスプレジデントは「顧客のニーズとして最も高いのは、コスト削減だ」と説明。同社ではエンタープライズの顧客が求めるサポート、追加的な機能、セキュリティーを担保した上で、競合より低価格で提供しており、「AIのワークロード拡大でデータ量が増大する中、当社製品のコストメリットが大きくなっている」と強調した。
国内では、幅広い業種で採用されており、特に金融や通信業界が多いという。4月に日本法人トップに就任した勝俣正起社長は、「中央省庁などの公共分野でも当社DBを採用していただいており、引き続きパブリックセクターに注力したい」と述べた。日本での販売強化にあたり、日本法人の人員体制を2倍に拡大した。同社が商談を進めた案件の構築をパートナーに担ってもらうかたちで協業を強化する考え。この先1年半で顧客数を1.5倍、売り上げを2倍に伸ばしたいとした。
(堀 茜)