デジタル庁は10月31日、自治体がSaaSを導入する際の調達専用Webサイト「デジタルマーケットプレイス(DMP)」を開設した。ITベンダーや販売会社が製品を登録した「カタログサイト」を通じて、自治体は用途に合った製品の検索や契約が可能となり、必要な機能を短期間で導入できるようになる。年内にベンダーによる登録を進め、2025年1月に自治体による利用を開始する予定だ。
DMPにはSaaS調達における自治体の工数を削減する狙いがあり、調達対象はSaaSとその導入支援サービスとなる。現状は、自治体ごとに調達仕様書を公開し、入札を経て調達先決定まで3カ月から半年程度を要するが、DMP経由では最短1カ月程度と大幅に短縮できる見通しだ。
吉田泰己 企画官
同庁は23年11月、ベンダーと販売会社が製品や導入サービスを登録できる仮サイトをオープンし、24年10月までに約400社が登録した。バックオフィスの業務効率化から防災や教育関連まで幅広い製品があるという。同庁の吉田泰己・企画官は「想定以上に多くの企業に登録していただいた」と手応えを語る。本サイトオープンから2カ月間はベンダーの正式登録期間とし、仮サイトに登録していた企業も含め多くのベンダーに登録を呼びかけている。
同庁は自治体のメリットとして、政策の企画段階においてSaaSを検索することで、適切な製品の情報を得られる点や、予算規模にあった製品を検索できる点などを挙げる。ベンダー側にとっては、販売機会の拡大につながるとする。カタログサイトへの掲載によって、全国の自治体から引き合いがある可能性があり、中小企業やスタートアップなども参入しやすくなるとみる。仮サイトに登録した約400社のうち、8割は中小やスタートアップで、「DMPによって自治体との取引拡大に期待しているというベンダーの声は多い」(吉田企画官)という。
今後は、官庁や地方自治体向けの説明会を順次開催し、25年1月に行政機関向けの検索と調達機能をリリースする。吉田企画官は「SaaSの調達が普及すれば、ソフトに合わせて業務が標準化していき国全体として重複投資を減らすことにつながる」と説明。先行して同様のシステムを導入している英国では数千のサービスが登録されており、日本でも同程度にDMPを広げたい考えだ。
(堀 茜)